わたしのアール【小説付きイラスト】

17 2024/06/03 14:57

私は飛びます

今日、屋上で。

それなのに、三つ編みの先客がいたんだ。

私はその子に声をかけてしまったんだ。

「ねぇ、やめなよ。」

ほんとはどうでもよかった

どうでもいいと思った。

生きようが生きまいが、

世界は何にも変わらない。

ただ、今から飛ぶ私を

この子と同じにして欲しくなかった。

私の辛さを誰かに知って欲しかった。

よくあることって思って欲しくなかった。

三つ編みの子は言った。

「運命の人に選んでもらえなかった。」

あたしにはあの人しかいなかったのに、

あの人はあたしを見捨てたんだ。

その瞬間

ふざけんな…!!

欲しいものが手に入らないくらいで…

奪われたこともないくせに

私と比べたら全然大したことないくせに

むかついて咄嗟に出た言葉。

「話したら楽になった。」

とその子は帰ってしまった。

なんとなく気分がモヤモヤしたから

飛ぶのはまた今度にすることにした。

ーーーーーーー

私は飛びます

今度こそ、屋上で

それなのに、背の低い先客がいたんだ。

やっぱり私は無視できなかった。

「ねぇ、やめなよ。」

ほんとはそんなこと思ってなかった。

咄嗟に出ただけの言葉。

無意識に言っただけの言葉。

どうでもよかった。

ただ、私は独りで飛びたかった。

名前も知らない子と一緒にされて死ぬのが

なんだかとてつもなく嫌だった。

背の低い子は言った。

「クラスで無視されて居場所がないんだ」

友達もできないし庇ってももらえない。

何をしても無視で学校が嫌いになった。

その瞬間

ふざけんな…!!

学校に居場所がないだけで

家では優しい家族と暖かいご飯があるんでしょ?

私に比べたら大したことないくせに

私と同じ土台に立たないで…

いらついて勢いで言ってしまった言葉。

「おなかすいた。」

とその子は帰ってしまった。

なんとなく気分が悪かったから

飛ぶのはまた今度にすることにした。

ーーーーーーー

飛ぼうとするたび先客に邪魔されて

私の悩みは消えないまま追い返して

私はなんにもできなくて

………。

私は飛びます

今日こそは、屋上で

それなのに、黄色いカーディガンの先客がいたんだ。

「ねぇ、やめなよ。」

「家に帰るたび増える痣、

学校にも居場所はないし。

どこに帰ればいいのやら…」

その瞬間

ふざけんな…!!

いつもなら出てくるあの言葉も

冷や汗しか出てこなくなっちゃって

初めて出会った

おんなじ悩みを抱えた子

「増え続けるこの痣を消し去ってしまうためここへ来たんだ」

私はこの子を止められない

止める権利なんてないのにさ

口をついて出た言葉。

決して本心ではないけれど

「ねぇ…やめてよ…。」

言ってしまったどうしよう

止める権利なんて誰にもないのに

何にも知らない私なんかに言われても

それでもここからは消えてよって

君を見ていると苦しいんだって

「じゃあ、今日はやめておくよ。」

ありがとう。

何にも知らない私なんかだから

言えることもあるって

今やっと気づけたんだ。

ーーーーーーー

私は飛びます

どうでもいいけど、屋上で

「増え続けるこの痣を消し去ってしまうためここへ来たんだ」

三つ編みの背の低い黄色いカーディガンを着た私は

どうでもいいし、死んでも死ななくても世界は変わらないけど

私は飛びます。

私を止めてくれる人なんていなくて

じゃあ…

私は飛びます

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タグ: わたし アール 小説付きイラスト

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その他2024/06/03 14:57:54 [通報] [非表示] フォローする
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すげえなはく


>>1
どこが…w

わたしのアール元々小説っぽいとこあるから結構むずかった(


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