余命3ヶ月の君『後編 愛梨彩視点』
私は全部、全部最初から分かってたんだ。
大人達は私は宣告された一ヶ月半も生きられないかもしれないと思ってた事も。
悔しいなぁ。
一ヶ月半生きて、大人達を見返したかったなぁ。
けど、もっと悔しいのは瀀に気持ちを伝えられなかった事。
瀀にだけは絶対に伝えたかったのになぁ。
やっぱり私は臆病だ。
全部知ってた上で瀀に言えなかったなんて。
手紙には書いたけど自分の口からは言えなかった。
瀀はどうなのかな。
返事も聞きたかったな。
ねぇ、神様。
私をなんでもいいから生まれ変わらせてください。
瀀の事を見守っていたいんです。
それ以外は何も望みません。
だからお願い、神様。
_「私」の意識はここで途絶えてる。ここからは「私」の話。
私には前世の記憶がある。
前世は愛梨彩という名前だったらしい。
顔はわからないけどなぜだかすごく愛しく感じる男の子から呼ばれていた「記憶」がある。
今日から私は高校生。
高校一年生の花坂 莉菜。
ついにやってきた。
なんだかすごく懐かしい気がする。
ぼーっと立っていると誰かにぶつかった。
「あ、すいませ...」
あれ?この人...
「あ、りさ?」
すごく懐かしい。
なぜだかずっとこの声を聞きたかった気がするんだ。
初対面のはずなのに。
「愛梨彩?愛梨彩だよな?どうして...」
「あのっ!私は愛梨彩さんじゃ...」
あっ...
愛梨彩って、私の前世の名前だ。
なんでこの人が...?
つっ!
...全部思い出した。
「瀀?」
「愛梨彩っ!やっと...やっと会えた...!」
「瀀っ!」
「愛梨彩。言いたい事がある。」
「なに?瀀。」
「大好きだよ。」
「つっ...!」
思わず涙が出る。
どれだけこの時を待ち望んだ事か。
やっと、やっと...!
「私もっ!大好きっ!」
余命3ヶ月の君 完
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