【恋愛小説】涙を桜に、桜を君に!
わーにん!!
• ど素人が書いてます。設定ガバガバ、細かいことは気にしない!
• 女性向け、恋愛小説
• ファンタジー要素満載&見たことある設定がいっぱい
• 無理だと思ったらプラウザバック。地雷に配慮してません
• なんでも許せる人向け
【恋愛小説】「涙を桜に、桜を君に!」①
ある初夏の日の夜。某ポツンとある一軒家を探すテレビ番組に取り上げられそうな、森の中にある古びた家で一人の女性__名を風早八重(カザハヤ ヤエ)という__が床に横になっていた。雨が降ったことで本格的に蒸し暑くなり、過ごしずらくなってきた頃。彼女がなかなか寝付けずに寝返りを打っていると、ドアを叩く音が聞こえた。
__がたがたがたっ、どんどんどんどんっ
(あ〜もう!うるさいなあ!)
一度無視しようと思い目を閉じるが、その音は無くならない。
ガタガタっドンドンっ
それどころか音は大きくなっていった。嫌味の一つや二つでも言ってやろうかと思いながら体を起こす。音は裏口から鳴っていた。
「誰ですか、こんな時間に!」
八重は苛立ちを隠しもせず叫んだ。幽霊はお断りですよ!と言う彼女は、20代にして森の中で一人暮らしをするだけあってかなりの変わり者だった。
「こんな時間にすまない。今晩だけでいい、少し泊めてくれないだろうか」
「はぁ?」
帰ってきたのは男の声。こんな時間に訪ねてくるだけで迷惑だというのに、さらに女性の家に泊めてほしいというのだ。もう一度言う。「女性の家に」だ。
「いや、無理です。というか、誰なんですか貴方」
「失礼。私はアレックス・ミラーという。王都で騎士団長をやっているんだ。任務から帰る途中だったのだが雨が降ってきてしまって、」
「騎士?王都?なんですかそれ。厨二病はお断りですよ。お引き取りください」
「チュウニ…?いや、ともかく一晩、いや、雨が止むまででもいいんだ。もちろん金は払う。頼む!」
名前を聞くとすんなり答えてくれた。が、アレックスとかいう、いかにも外国語っぽい名前。さらには騎士だの任務だの訳のわからないことを言い出す始末。もちろん八重は即断ったのだが、男はなかなか引き下がらない。泊めてくれ、いや無理です。という応戦が何度か続いた結果、ついに折れた彼女は大きなため息をつきながら言った。
「はあ、分かりました。とりあえず話しを聞きたいので」
「い、良いのか?」
(自分で言い出したくせに、何を言ってんだか)
「話しを聞くだけですからね」
「!ありがとう」
とりあえず話だけ聞いてさっさと帰ってもらおうという結論に至った八重は、裏口は開かないから正面から入るように、と言おうと口を開いた___
ガチャ
「…は?」
のだが、次の瞬間起こったことに思わず間抜けな声が漏れた。なんと、あれほど古びて開かなくなった裏口の扉が難なく開いたのだ。今までいくら頑張っても、というか業者にまで頼んでもびくともしなかったのに。
「ぇ…、は、え?」
予想外の出来事に困惑して固まっている彼女に男__否、アレックスが声をかける。
「あーっと、はじめまして?」
初めまして、という言葉に反応し、反射的に言葉を返そうとする。が、顔を上げた瞬間またもや固まることとなる。
「はじめま___え?」
まず目に入ったのは馬。なんと目の前の彼は馬を連れていたのだ。え?馬?と困惑している彼女が次に目を止めたのが服装。鉄でできていると思われる重そうな鎧に、大きな盾。そして極め付けはシンプルだが美しい装飾が施された、どう見ても本物としか思えない剣。
(これじゃあまるで、異世界から来た見たいじゃないか)
と馬鹿げた考えが彼女の頭よぎる。そして次に彼の顔に目がいった。
(うわ、、イケメン)
キリッとした紺色の細い目に、形の良い眉。艶のある黒い髪は雨水が滴り落ちており、ホストもびっくりな男の色気を醸し出していた。が、この男は初対面、開口一番に「泊めて」と言ってきた人間である。確かに顔はいいと思ったが、彼女の中の印象はマイナスであった。それゆえに普段ならば赤面くらいしていたであろう彼女の男の扱いは「異性」以前に「不審者」なのである。色気など微塵も気にしなかった。
「き、騎士?え、本物…?」
思わずそう呟くと、彼は少しほっとしたように頬を緩ませながら言った。
「ああ、本物だ。怪しい者じゃない。泊めて、とまでは言わない。少し雨宿りをしたいんだ」
(まあ、雨宿りくらいなら…)
泊めて、と言われたときに断ったことに少なからず罪悪感を抱いていた八重は、「泊める」ことからハードルが下がった「雨宿り」という言葉で思わず許可をしてしまった。ちなみにこれは「ドア・イン・ザ・フェイス」という営業によく使われるテクニックであり、断ったことへの罪悪感から次の小さな要望を受け入れてもらう、というものである。アレックス、恐るべし策士だった__ということではなく、さすがに女性の家に泊まるのはという理性からくる無意識のものだったのだが。
「まあ、雨宿りくらいなら良いですよ。外は雨も降っていて寒いでしょうから、どうぞ上がってください」
「感謝する!」
そう言ってひどく安堵した表情をする騎士(らしきもの)を見て、八重の警戒心は少し弱くなった。たまにはお人好しになってもいいか、と思いながら雨で濡れている彼にタオルを渡すべくタンスへと向かう。
「よかったらこれ使って拭いてください」
「えっ良いのか?こんな上等そうなものを使って」
「上等…?これ、普通のスーパーで買ったものですが?」
「すーぱー…。あ、馬、どこに繋いでおけばいいだろうか」
「え、あー馬…全く扱い方知らないのでなんとも、」
「えっ」
なんとか雨宿りだけなら、という結論に至ったのはいいが、初っ端から話が全く噛み合わないことに八重は頭を抱える。ついでに目の前の騎士も困惑していた。
(これからどうすっかな…)
数秒間の沈黙。ザーザーという雨の音がやけによく聞こえる。その沈を破るように、はたまたまるで物語が始まる合図のように、遠くで雷が鳴った。
これは、住む世界が違う二人の男女が一つのドアを通じてハートフルな恋愛を繰り広げる物語である。(予定)
続くかもしれない。
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