渡るもの藤原妹紅 八意の提言
私が永琳のいる永遠亭に足を踏み入れた時に、ちょうど開院の時間で、ほんの少しいつもより騒がしかった。
「うどんげ。そっちの準備は出来てる?」
「傷薬、咳止め、ヒスタミンを抑制するやつに、マスク、消毒液、絆創膏、とにかく用意できました」
「てゐ、そっちは?」
「清掃も、整頓もばっちり、兎にも手伝ってもらって、準備完了したよ」
「じゃあ開院ね」
ちょうど扉の前で待っていたせいで。
「あら、今日の最初の患者さんは、妹紅かしら、ここは精神病はあんまりよ」
「別に、落ち込んでいないのは、わかっているだろ」
「流石にね、それで、何の用事?」
「輝夜探しって、どれくらい進んでるかを聞きにきた」
「それなら... ちょうどいいわね。ちょっと和室まで、上がりなさい」
「? わかった」
和室にいくとそこにはいかにも胡散臭い匂いがいつもする紫がいた。
「結果報告よ、永琳」
スキマから上半身だけを出しながら紫がそう言った。
「それで、結果は?」
「結論から言うと、何処にもいないわ」
「どのくらいの範囲を探して?」
「幻想郷や外の世界、月の都は幽々子に探してもらったわ」
他は?
「とりあえず3パーセクくらい遠くまで、探したけど、痕跡すら見つからなかったわ」
「そして、一つ痕跡があることに気づいたってことね。紫」
「やはり、気がついていたのね。そう、幻想郷内では記憶以外の、外の世界では全ての輝夜に関する情報が完全に消えていたわ」
「予想通りだったけど。情報提供ありがとうね、紫」
「ふふっ、いいのよ、元月の賢者さん」
「報酬は月の技術でいいんでしょう?」
「ええ、あれは幻想郷の維持にはかなり欲しいから、本場で盗もうにも、豊姫が厄介で」
「わかった、明日の正午程に永遠亭に来たらおしえてあげるわ」
「では、また明日の正午、早起きしなきゃ」
そう言ってスキマから紫が帰っていった
「で、結局輝夜は見つからず、どこにいるかもわからなかったのか、永琳?」
「いや、妹紅、姫はいるけども、いない」
かくれんぼしているのに、いないはずるいじゃないかと思う。
「まぁ、私の仮説が正しければの話だけどね」
「聴かせてくれ」
そうして仮説が述べられることになった。そして、その頃には尋人がまた一人、来ようとしていたのは別の話。

