『クリスマスに起きた奇跡』
「わぁ〜!くまさんだぁ!」
その時私は、くまのぬいぐるみをもらった。
「良かったわね〜サンタさんにありがとうしないとね〜」
そう言われた。
「サンタさん!ありがとっ!」
これは、4歳の頃の出来事。
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あんな事が起こるなんて、思いもしなかったなぁ。
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今日はクリスマス。
私は夕凪咲良!5歳!いまはお母さんとおさんぽしてるの!
「あっちょうちょ!」
指を指したその先には、綺麗な羽を広げて飛ぶ蝶がいた。
「これはモンシロチョウかな?」
お母さんは、そう言った。
「んーん!これはアゲハチョウだよ!」
私は、昔から虫に詳しく、お母さんに教えていた。
「さくちゃんは、本当に虫に詳しいね〜」
首をかしげて、そう言ってきた。
「えっへん!あっお母さん!あっち行こっ!」
それが最後の会話とも知らずに...
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ガシャーン!!
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「...え.......?」
機械の鈍いぶつかる音が場に響いた。
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「..おかあ、さ、ん..?」
車が突っ込んできたんだ。
運転席を見ると、酔っている高齢者がいた。
「飲酒運転...」
その車は、逃げ出すように走り去っていった。
私は、怒りと困惑で戸惑っていた。
私の目に映ったのは、
車に轢かれ、臓器がむき出しになり、とても、人間とは思えない、醜い姿をしている、自分の母だった。
そんな、お願い...お母さん...
「いかないで...。」
私は、ただ祈ることしか出来なかった。
「ごめんね、今ま..でありが...と、頑張って、ね。」
お母さんの最期は笑顔だった__
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長い時が経ち、私は小学4年生になった。
そして、今日はクリスマス。
「...サンタさんになにお願いしようかなぁ」
小さな声で、そう呟いた。
お母さんのいない生活だって慣れた。
同級生にいじられるけど。
「咲良〜!」
お父さんの声だ。
「クリスマスツリー飾るよ〜!」
クリスマスツリー、クリスマス当日に飾るものじゃない気がする。
「は〜い!今行く!!」
私達は、クリスマスツリーに星の飾りなど色々付けた。
「ふー、疲れたね〜」
お父さんも疲れている様子だ。
正直私も疲れた。
「もうご飯出来てるから、待っててね〜」
「わかった〜!」
…クリスマスツリー、綺麗だなぁ。
そう眺めている内にご飯が用意されたみたいだ。
「ご飯食べるよ〜」
「はーい」
そうして夜ご飯を食べ、歯磨きをし、寝る準備をした。
「お父さんおやすみー」
「うんおやすみ」
私は布団に入った。
すると、変な感覚に違和感を覚えた。
「わ!」
急に視界が真っ黒になった。
暗い。そして怖い。
「怖いよ、お母さんっ、!」
私は、無意識に、母に助けを求めていた。
だんだんと、視界が良好になり、辺りを見渡すと、そこには......
正真正銘、私の、死んだはずの、お母さんがいた。
「え...?お母さん...?」
私は、変な感情が行ったり来たりしていた。
「咲良、ごめんね、お母さんが周り見てなかったからだね。」
母はそう言った。
「..ううん!突っ込んできた車が悪いよ!」
「、咲良...?」
ポタッ
私の目には、溢れる程の大粒の涙が流れていた。
なんで、お母さんの前では強い私で在りたいのに。
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、私、寂しかったんだ。
お母さんのいない生活、なにか心細くて、物足りない。
「お母さんっ!!!」
私は咄嗟に叫んだ。
「大丈夫大丈夫、お母さんはずっと、咲良のこと見守ってるからね。」
私の、目に映る景色は、涙のせいで歪んで見えた。
「なんで、一人であの世に逝っちゃったの...?」
私は、そう聞いた。
「神様がね、お母さんを楽しいパーティーに、誘ってくれたの。」
お母さんは、そう言っていた。
「そうだったの...?」
「うん、あっ、お母さん、パーティーに戻らなきゃ、」
え...帰っちゃうの...?
「やだ...っ!」
お母さんの体は、段々と薄くなり、消えていこうとしている。
「お母さん...っ!」
いやだ、いやだよ。
「いかないで...。」
「後悔しない人生にしてね。」
お母さんは、そう言い、消えていった。
その時、私は突然、睡魔に襲われ、眠ってしまった。
.
翌朝、気持ち良く目が覚めた。
私は、昔から、悪夢を見やすい体質だったが、
今日は、悪夢も見ず、”普通”の睡眠が出来た。
そして、良い夢を見た。
..あれ、どんな内容だったっけ。
思い出せない。だけど、凄く重要な夢だった気がする。
何分も、思い出そうと頑張ったが、思い出せなかった。
私は、昨日のお母さんの言葉を思い出して、思った。
悔いなく生きよう。と
お母さんに、そう言われたから。
私は、そう決めて、強く生きることを決意した。
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