桜の約束【和風総選挙】
登場人物:光太
春のある日、村の少年、光太(こうた)は、亡き母の墓前で静かに手を合わせていた。母は毎年、桜の花が咲く頃に「桜の木の下で待っている」と言っていた。
「お母さん、今年も桜が咲いたよ。」
ふと、光太は手に持っていた花をそっと地面に置いた。その時、風が吹き、桜の花びらが舞い散った。
「光太。」
背後から、優しい声が聞こえた。振り返ると、母が微笑みながら立っていた。驚きと嬉しさが交錯し、光太は目を見開いた。
「お母さん…?」
「私はいつも、桜の木の下であなたを見守っているよ。」
母の温かい言葉に、光太は涙を流しながら頷いた。そして、母の手を握りしめた。
「ありがとう、お母さん。」
桜の花が優しく二人を包み込み、母の姿は風に乗って、再び桜の花びらのように消えていった。
その後、光太は毎年、桜の下で母に手を合わせることを忘れなかった。母の約束を胸に、幸せな日々を送り続けた。
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