【春総選挙】「続編:また、春が来たから」

6 2025/04/11 19:14

登場人物:悠人・紬・千紘・(咲)

【あらすじ】

あれから4年。大学生になった悠人は、春が来るたびに、紬の手紙を読み返していた。

季節は変わっても、彼の中にはずっと「あの春」が生きている。

でもある日、文芸サークルの後輩が言った。

「この詩、すっごく紬さんに似てますよね」

差し出されたのは、地方の文芸誌に載っていた、一本の詩。

そのタイトルは――「春をくれた人へ」。

第1章 ──置いてけぼりの春

4月。大学のキャンパスには、入学式を終えたばかりの新入生たちが溢れていた。

「悠人先輩〜! 会報誌、印刷いってきましたよ!」

後輩の千紘が、両手にプリントを抱えてやってくる。

「ありがと。今月号もいい感じ?」

「はい、でも……実は気になる記事があって」

そう言って千紘が1ページを指差した。

そこには、こう書いてあった。

春をくれた人へ

あなたがいなくなってから、春は優しすぎる。

花びらの舞う道を歩くとき、私はいまも、あなたの背中を探してしまう。

でも、心の中にはちゃんと、あの日の笑顔が生きてる。

あなたの言葉が、今日も私を生かしてる。

だから、春が来るのは怖くない。

あなたが春をくれたから。

――ありがとう。忘れないよ。

「……これ、誰が書いたんだ?」

「ペンネームは“咲”。でも、なんか、紬さんの書き方に似てませんか?」

心臓が、ドクンと鳴った。

咲。

どこかで聞いたことがあるような、ないような。

そして、ページの下には小さく、

「※寄稿者は現在、地元で療養中。投稿作品より抜粋」

とあった。

まさか、そんなはずは。

でも――

心のどこかで、火が灯る音がした。

第2章 ──咲という名前

数日後。悠人は、地方文芸誌の編集部に連絡を取っていた。

名前も顔も出さず、ただ「咲さんに伝えたい言葉がある」とだけ言った。

そしたら数日後、1通の封書が届いた。

差出人の名前はなかった。けど、中に入っていた便箋の文字は、たしかに見覚えのある筆跡だった。

悠人くんへ

この手紙をあなたが読んでいる頃、私はきっと、また春の空の下にいます。

あの春から、私はずっとあなたに伝えたい言葉を抱えて生きてきました。

「ありがとう」も「ごめんね」も、何度も心の中で言いました。

でも、やっぱり一番伝えたいのは――

「生きててくれて、ありがとう」

あなたがいた春は、今でも、私の光です。

またどこかで、桜の下で会えたら、その時は笑って声をかけてね。

紬より

最終章 ──春の続きを生きる

それから悠人は、“咲”という名前で、紬との日々を小説に綴りはじめた。

フィクションとして、でも本当の気持ちとして。

“春をくれた彼女”の記憶は、多くの読者に届きはじめていた。

サークルの後輩たちは言う。

「この小説、本当に誰かにあった話みたいですね」

悠人は、静かに笑った。

「うん。……春になると、いつも隣にいた人がいるんだ」

そして、今年もまた、桜が咲く。

彼は手紙を胸ポケットにしまって、あの丘へと向かった。

風が吹いた。

花びらが舞う中、どこかから声が聞こえた気がした。

「――春を、ありがとう」

終わりに(続編)

生きるって、想いを受け継ぐことなんだと思う。

誰かのくれた季節を、忘れずに、今日を生きていく。

だから、春が怖くなくなった。

今は、会えない誰かに「またね」って言える気がするんだ。

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その他2025/04/11 19:14:24 [通報] [非表示] フォローする
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「さよなら、春をくれた君へ」の続編です!!

是非読んでみてねー!


手紙でも繋がる事が出来立て良かった!!文章素晴らしい!!投票したよ👍


>>2
ありがとうございます✨️


>>3
いえいえ✨


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