桜咲き、想いは芽吹き

2 2025/04/13 15:07

「ほら、帽子。」

ちっちゃいなぁと思う、ずっと一緒にいたせいかもしれないが。

「美優、ちゃんとランドセル背負っていける?」

「もう私おっきいもん!」

不満げに見上げられる。

「まぁまぁ、手ェ繋いで行こ?な?」

「うん。」

ぴょんぴょん跳ねている、面白いのでほっといたら抱きつかれた。

「うわっ。」

「せぇ伸びない〜。」

「いっぱい食べたら、背ものびるよ。」

妹ってかわいいなあ。

特に面白いとも思わないが、ありがたいことに僕はクラスメイトに恵まれた。

学校のアイドル、桑島綺羅さん。

無個性極まる僕が何ができるでもないが、彼女の後ろで授業が受けられる。

恋をしているわけじゃない、あるいは恋に恋するというやつだ。

告白なんてできるわけもないけれど、男子みんなで色々言ってたいよねということである。

「おはよう!」

「はよ。」

「よーっす!」

「おん。」

有象無象の中に、あの子はいないか…

「あっ。」

「おはよう、陽介くん!」

「おはようございます!」

長い黒髪、細くて綺麗な足、それから何かいい匂いもするような‥

「お姉ちゃんだれ?」

緊張してきょろきょろしていた妹が、彼女には話しかけた。

「私はお兄ちゃんの同級生だよ、仲良くしようね!」

「お兄ちゃんの…」

見るな、見るな妹よ、お兄ちゃんをそんな目で見るな。

「桑島さんだよ、桑島綺羅さん。」

「綺羅お姉ちゃん?」

「よろしくね!」

思えばこの時に、どこにでもあるようなないような物語が動き出したのだ。

「みなさん、ご入学おめでとうございます、これからこの学校で元気よく…」

校長先生が孫のような目で新入生を見ている。

うちのみーちゃん大丈夫かな?

他の子の手を繋いで入場することになったので、どうにも落ち着かない。

「っぶねぇ〜。」

校歌間違えるとこだった。

所で先ほどからうちの子は、元気に校歌を歌っている。

「われらのまなびーやーは~。」

「えらいぞ、みーちゃん。」

「私、お姉ちゃんとお歌歌う!」

「そっかそっか…うん?」

「綺羅お姉ちゃんち遊びに行く!」

「ハイ?」

ある春、僕のどうでもいい日常が大きく動き出すのだった。

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その他2025/04/13 15:07:39 [通報] [非表示] フォローする
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1: モブ王 @plotzuki15 2025/04/13 15:08:28 通報 非表示

総選挙立候補作品になります、投票お願いします!


めちゃ青春って感じで良い!!

投票したよ👍


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