鬼
ある男がいた、男は永遠を求めた。
このままでは終わらぬ、決して終わらぬと。
咳を吐き呪いを吐きながら、眼光は都を睨みつけた。
「これを飲まねば、私はどうなる?」
「ご存知の通り、二十歳を前にそのお命尽きましょう。」
医者はヘラヘラと差し出した薬は効かず、どす黒く恨みは募った。
終わらぬ、おわってなどなるものか、このまま朽ち果てるなど。
「貴様あ!ゴホッ、ガハ、はあ‥はあ。」
男は医者を刺し殺した、これは戯言を吐いた報いだ。
「はあ、…がは、ごはあ!私は、決して死なん、死ぬものかぁ!」
いきながら怨霊の如く、男は睨んだ。
「ぬっ!?」
男は気づいた、己の体が創り変わっていることを。
「ふふ、ふはは…クックックッ。」
腹が空いた。
なんと愉快なことだ、老いず、病に罹らぬ体を手に入れた。
「都を脅かす鬼め!」
「それは私か?」
月は鮮血を照らし出した。
男の欲は尽きることなく、後の世界へ厄災を放つ。
「病で死ぬのは恐ろしいか?ならば‥」
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