めぐろちゃんの幼少期 第一話
「めぐろちゃん、おはよう!」
「あ、おはよう!」
めぐろちゃんは、いつもはやい。ようちえんに来るのだってもわたしより早い。
だけどめぐろちゃんはいつもひとり。
誘っても「遊ぶときは一人で過ごすのが好きなの」
と言って、一人ぼっちで角のほうへ行ってしまう。
でも今日は違った。わたしに近づいてくると、心なしいつもより声に張りがあるように思えた。そして彼女は言った。
「あ、あの……もし良ければ一緒に帰らない……」
わたしはもちろんOKする。その日はお母さんにOKを得て、すぐに幼稚園を出て、近所の公園で遊びに行った。
どうやら、めぐろちゃんは、ずっとこの近所に住んでいるそうだ。
「でもわたし、いつもみんなと遊んでもすぐ嫌われちゃうの。」
「そうなの?」
「うん……だから友達もいなくて……でも今は、一緒に遊べてすごく楽しくて! それで、あの、えっと……」
めぐろちゃんはそこで言葉に詰まってしまう。わたしはめぐろちゃんが何を言いたいかはわかった。だから、こう言った。
「いいよ、お友達になろう?」
そう答えるとぱぁっと顔を明るくさせた。
「それじゃあまた明日!」
そういってめぐろちゃんとお別れをした。
そして次の日、めぐろちゃんは来なかった。
先生に聞いても「めぐろちゃん?だれだろ〜?」といわれる。
その子の番号のマークもなくて、驚愕した。
めぐろちゃんにとっての"初めて"になれたのに・・・
泣いて、帰る際にそのことを話すと、
一枚の動画を見せられた。
「わたし、囚われちゃった」
それだけを残して動画は終わった。
その声はもう諦めたような笑いがはいっていた。
私は悔しく泣いた。
真っ暗な部屋に閉じ込められためぐろちゃんのあの笑みが脳裏にこびりついて忘れられない。
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