形無き壁
鬱病患者の多くは、「見えない、遠い所にいる大きい恐怖に四六時中追われている感じがする」と言っている。実態が無くても、恐怖する物事というのはある。夏休みの宿題がまだ終わっていない最終日、大事なプレゼンの前、重大な忘れ物に気づくあの瞬間。どれも形として恐怖が存在しているわけではないが、現実から逃げたくなるだろう。あの感覚を思い出して欲しい。
そして多くの人間はそこから脱力していく。自分に力とその物事を照らし合わせて、不可能という事実だけを正直に受け入れ、諦める。果てしない虚空と、真っ白な思考に挟まれて、彼らは意識を保つことを放棄する。
残念ながら、確実にこれらを解決する公式は存在しない。彼らの人間性に与えられた試練であり、運命である。彼らは形無き壁に挟まれて、己の無力を痛感しながら、時間の流れをただただ感じていくだけなのである。
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