優しさの代償
「あ〜、夢ちゃん起きたぁ!」
「だいじょ〜ぶ?」
目が覚めると中庭のベンチだった。昔から体が弱かった私は遊んでいる最中、貧血で倒れることが多かった。
「夢ちゃん大丈夫?」
「だいじょぶ...」
みんな遊ぶのが中断されるのが気に食わないのか私と遊ぶのは一人しか居なかった。それは姉の実央姉。実央姉は安全な部屋遊びなどを誘ってくれる。
「今日は積み木遊びしよー!」
「...でも私ブランコしたい。それにブランコは漕ぐだけだし安全じゃ...」
「つ・み・き!今日は積み木なの!」
反論したら無理やり部屋遊びにされるが今思えば優しい姉だなって思う。ただ昔の姉は言葉で言い表せない程の不気味な顔になることが多々あった。昔の私には分からなかったけどね。姉は我儘だなって思ってたけどそんなことはない。母が
「お姉ちゃんがいるからあなたは今元気なのよ」
って言ってたし。私は今17歳だけど昔より元気だし貧血で倒れることも少なくなった。今は一人暮らしをしているが折角のお正月だし実家に帰ってきた。
「...あらおかえりなさい」
「おう、久しぶりじゃあないか」
「ただいまー!ママ、パパ!」
久しぶりの母と父は何だか元気がない...?というより悲しそうだ。
「何?どうしたの、折角愛娘が会いに来たのに!」
少し冗談交じりで話すと母は大声を上げた。
「帰ってこなくてよかったのに!」
母に怒鳴られて私は呆然としてしまう。
「まぁまぁそんな怒らないで。お正月なんだしさ」
姉はカリカリしている母をなだめる。
(私、邪魔者だったのかな...)
みんなでテレビの前に集まる。母と私の間には少しの隙間がある。
『カウントダウン行きましょう!5・4・3・2・1!ハッピーニューイヤー!』
カウントダウンが終わると同時に私は控えめにジャンプした。姉に手を掴まれた。
「どこ行くの?」
「ト、トイレ」
変な質問に答えると姉の口が大きく縦に別れた。
「え...?」
私は怖すぎて声が出ない。母と父が姉に向かって土下座した。
「お願いします。お光様、娘を連れて行かないでください」
「私達を連れて行ってください」
母と父は震えた声で話す。
(なに、これ...お光様って?)
「ダメだ。お前らが悪いんだからな。それに18歳になり立ての娘が一番上手いんだよなぁ」
姉と思われる化物は舌舐めずりを繰り返している。
化物はこちらを見るとまた大きく口を開けた。そして私の上半身をバクンと食べた。最後に聞こえたのは母のすすり泣く声と父の後悔したような声だった。
「ごめん、ごめんねぇ...」
「俺達が祠を壊してしまったから...」
「ん〜!美味しいお肉ごちそうさまでした!」

