とーと事件13章

7 2025/12/12 20:07

第13章 白銀の来訪者 ― ゆき兎

 仲間それぞれの力が覚醒し、蓮たちの士気が最高潮に達した夜。

 山脈の上空に、季節外れの白い粒がふわりと舞い落ちてきた。

「雪……?」

 食べ消しが手を伸ばして、掌に落ちた結晶を見つめる。

「さっきまで晴れてたよな?」

 ぜらちんも眉を寄せて空を見上げる。

「気象操作の能力者…か、また運営の刺客?」

 蓮は周囲の気配を探ったが、妙だ。

 敵意がない。むしろ——何かが近づいてくる気配なのに、まるで風に紛れるような柔らかさ。

 次の瞬間、白い靄がすっと割れた。

 そこに立っていたのは、雪の結晶のように透き通る髪と、淡い蒼色の瞳を持つ少女だった。

 うさぎのように長い耳飾りをつけ、白いマントをひらりとなびかせる。

「……あなたたちが、蓮たち?」

 声は冷たいのに、不思議と優しい。

 蓮が前に出ると、少女は静かにうなずいた。

「私は“ゆき兎”。山の上であなたたちをずっと見ていたの」

「監視されてたってことか?」

 ガリウムが少しだけ警戒を見せる。

「違うわ。見守っていたのよ。あなたたちが落ちるか、折れるか、立ち上がるか……その全部を」

 そして、雪のように淡く微笑んだ。

「もうすぐ“運営四天王”本隊が動く。あなたたちだけじゃ、まだ足りない。だから——私が力になる」

 その言葉と同時に、空気の密度が変わった。

 少女の周囲に冷気が集中し、雪片が渦巻く。

! ゆき兎の能力・覚醒!

「私の力を見せるわね」

 ゆき兎は指を軽く鳴らした。

 その瞬間、地面の雪が生命を持ったように立ち上がり、巨大な“雪兎”の形をとった。

「雪を操る……!」

 食べ消しが思わず後ずさる。

「それだけじゃないわ」

 ゆき兎の身体が淡い光に包まれ、風のような速度で一瞬にして蓮の背後を取る。

「っ!? 速い!?」

 ぜらちんが目を見開く。

「身体能力を……百倍に強化してるのか」

 蓮はその動きを見切れなかった自分に、思わず冷汗を流した。

「最後にもう一つ——」

 ゆき兎は目を閉じた。

 次の瞬間、五感すべてが彼女の周囲を満たすように広がった。

「……あなたたちの気配も、呼吸の速度も、心拍も全部わかる。

 “五感覚醒”よ。敵を一瞬で見抜いて、対応できる」

 その説明を終えると、少女は静かに蓮の目を見た。

「——本当に、あなたたちと一緒に戦いたい」

   信頼の証

 蓮は答える前に、仲間たちの顔を見た。

 ガリウムは腕を組んだまま頷き、食べ消しは興味津々という感じで近付く。

「雪操れるのいいなー! 俺、能力奪えるけど雪は出せねぇし!」

 ぜらちんは警戒を解ききらないまま口を開いた。

「理由を教えて。どうして俺らみたいな寄せ集めに?」

 ゆき兎は夜空の雪を見上げた。

「……あなたたち、誰一人として見捨てなかった。

 仲間を、運命を、自分の可能性を」

 そして蓮のほうに視線を戻す。

「特にあなた。蓮。あなたは“死ぬ覚悟”で仲間を逃がそうとした……あれを見て『あの人と一緒に戦いたい』って思ったの」

 蓮は照れたように頭を掻くしかなかった。

「……そんな格好いいもんじゃないよ。あれは、ただ必死だっただけだ」

「必死に仲間を守れる人は、誰よりも強いわ」

 ゆき兎は静かに手を差し出す。

「よろしくね、蓮。みんな」

 その手を、蓮はしっかりと握った。

「こちらこそ。これからよろしく、ゆき兎」

     雪原の試練

 ゆき兎は仲間になった直後、ある提案をした。

「四天王に挑む前に、私が作る“雪の結界”で訓練をしましょう。

 運営はもう動き始めてる。あなたたちはもっと強くなれるはず」

 ゆき兎が地面に手を触れると、白銀の世界が広がった。

 雪が壁となり、迷宮になり、冷気が敵のように吹き荒れる。

「なんだこれ……!」

 ぜらちんは風圧に耐えながら叫んだ。

「この中では、あなたたちの弱点が全部見える。

 五感覚醒で全部……教えてあげるわ」

 そこから始まった訓練は、想像以上に過酷だった。

 ガリウムは重い雪の壁を破壊しながら、体力強化を繰り返し——

 食べ消しは雪で作られた仮想敵から能力を奪い、応用力を磨き——

 ぜらちんは視界を奪われながら戦い、感覚の精度を上げていった。

 蓮もまた、雪の中で自分の限界と向き合う。

 ゆき兎は静かに蓮の背を押した。

「あなたは焦らなくていい。レベルが上がれば、必ず“サタン”にも勝てる」

 蓮は深く息をつき、拳を握った。

「……ありがとう。必ず強くなる」

     新たな光

 訓練が終わる頃、雪の結界は静かに消えた。

 ゆき兎は新たな仲間たちを見渡して、穏やかに微笑む。

「これで、四天王の一角“アダム”にも対抗できるはず」

 蓮たちは頷く。

 新たな仲間——ゆき兎。

 彼女の力は、これからの戦いで大きな鍵となる。

 白銀の風が吹き抜ける中、蓮は空を見上げる。

(待ってろ……アダム。四天王。運営、、、必ず、お前たちを越えてみせる)

やばぁぁい。新キャラは雪うさぎさんでしたね

いいねを贈ろう
いいね
7

このトピックは、名前 @IDを設定してる人のみコメントできます → 設定する(かんたんです)
画像・吹き出し

タグ:

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する
おもしろ2025/12/12 20:07:39 [通報] [非表示] フォローする
TTツイートしよう!
TTツイートする

拡散用



1: モブ王 @plotzuki15 2025/12/13 19:55:29通報 非表示

こういうの好きよ


画像・吹き出し
タグ:

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する