顔はキャンバス
顔はキャンバス。唇に赤を乗せて頬にピンクを乗せて目の下に厚い肌色を乗せればほら。こうすれば笑顔で純粋無垢で何も知らない女の子が出来上がる。
「あ!おはよう杏里!」
「おはよう。」
今日もみんなの杏里として笑顔を振りまきます!...愛想笑いだけどね。みんなのアイドル。苦しくない?無理しないで?大丈夫。私が我慢すれば愛想笑いしておけばみーんな幸せ。
「紹介するね!香菜ちゃんだよ!」
誰こいつ。私よりも笑顔が可愛くて人気者。なんかムカつく。
「杏里?今日は不機嫌だね?そこも可愛いけど」
「だって...!(じゃない。)そ、そんなことないよ。だってほら笑顔じゃない?」
「い、いや。隈が...」
嘘でしょ?トイレに逃げる。鏡を見るとダサい私が立ってた。目の下には夜中まで勉強して出来た隈。唇はいかにも体調悪いですって感じの青色になってる。頬はコケてそばかすがある。まずい。早く。描かなきゃ。メイク?そんな物じゃない。ファンデーションは厚く乗せ頑張ったなんて思わせない隈もコケた頬がバレないように厚くして口紅は落ちないように赤いものを。頬は天然少女と見せるためピンク色で。ほ、ほら。可愛いでしょ?
「ご、ごめん。お待たせ」
「お、おう...」
ほら、また見惚れてる。さっきは引いてたくせに。顔しか見てないクソ野郎。でもそんな言葉言っちゃいけないのよ?
「ねぇ?私の前では素を見せて?」
「は?」
何いってんの?あんたのせいでもっと隈が出来てもっと化粧暑くしてるのに。もう。止めてよ。止めて。止めて。止めて止めて止めて止めて止めて止めて。
「止めてよ!」
「...え?」
「私は純粋無垢で可愛いみんなのアイドルとして過ごさなきゃ行けないの!」
「...」
「...ごめん」
「いいの。分かるから。私ね?可愛くて純粋な子として生きなきゃって思ってたから気張ってたから。同じ子がいて嬉しい。同じものとして私だけには素を見せてほしい」
まるで私達は双子のように同じことをしていたんだ。それで気付いた。香菜の目元からファンデーションがひび割れてパラパラ落ちてることに。口角が下がって居ることに。私と同じくらい厚くして頑張ってるんだ。そう思ったら涙が溢れた。
「...もう嫌だ!可愛い子ってつかれた!顔しか見てないし!」
「...」
今ではね自分が明るくなったって言われるの。今でもメイクはしてるの。でも私のチャームポイントのそばかすは隠さないことにした!もうみんなのアイドルの杏里はいらない。だってこの方が可愛いじゃん!

