【2分ネタ】妄想
昔書いたネタです。一応小説だという認識
友達にご飯行こうって誘われた。結構嬉しい。
小学生時代はいつも友達がおらず、4限が終わったあとの給食前のざわざわざわざわしている時間に、特にする事もなく椅子に座っていた。教室がざわざわざわざわするほど、私が今座っている椅子の硬さがより明瞭になって、頭の中に突き刺さる。そして、決して見たくはなかったが、コンパスを眺めていた。次の時間が数学であったから見ただけであって、決して、決して見たかったわけではない。すると右斜め前から女子の声で、「殴るよ」と聞こえてきて、私はふと思った。
この場合の「殴るよ」は3パターンである。
まず1つ目。黒い服にピンク色のラインの入った服を着た女子の「殴るよ」。
そして2つ目。水色のテロテロの服を着た、もしこの世に華奢という言葉が無かったら華奢ではない、たまたま華奢という言葉が存在しているから華奢なだけの女子の「殴るよ」。
最後に3つ目。水色のテロテロのすごい肩幅の広い女子の「殴るよ」。
私はコンパスから目を離し、「殴るよ」と声がした方を見てみると、肩幅のパターンであった。肩幅女子が「殴るよ」と言ったのに対し、隣には男子。青くて、思わず「そこにポケットあるんだ」と言いたくなってしまうようなTシャツに、いま皆が思い浮かべている"あの"半ズボンを履いている男子である。
ここで肩幅女子は「殴るよ」と言っているわけであるが、本当に殴るわけではない。肩幅女子の置かれている状況、クラスでのポジション、性別などを鑑みて、彼女の取れるモーションは『殴る』ではない。つまりここでの「殴るよ」とは、心意気の発表であり、決して殴る気などないのだ。しかし、ここで肩幅女子は「殴るよ」と言ってしまった以上、隣の男子に対して何かしらの行動は起こさなければならない。そこで肩幅女子が教室でギリギリできるラインの行動、それこそが足払いである。それに対して男子の避け方は足だけを後ろに下げる、いわゆる『咄嗟の逆立ち幅跳び』である。
その時私はコンパス越しに『咄嗟の逆立ち幅跳び』を見、右の眼球でそのコンパスと現実を組み合わせた時、この教室をギリギリ切り裂かないような絶妙なバランスで、上半身裸になり、「あぁー!!わぁ!やり過ぎ!」。しかし足払いを食らった男子が生きているという現実も突き刺さる。その現実にも突き刺さるトーンの「あぁー!!」。
これである。これこそが小学校4年生の最高水準のバランス感覚である。そして教室中の視線が私に集まる。上半身裸、奇怪な叫び声、すべてに、『事情ありますよ。』の顔。そしてこの色が教室に充満しきる前に
あれ、小学校なのに数学なの?
完
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