ナレーションニキ
弱小陸上部を立て直し、全国大会優勝を目指す青春を、うちの妹は送っている。
「小学生で抜かれて以来、妹は俺よりも速くなり、ついには県の代表になってしまった‥」
「なんでナレーションみたいなこと言ってるの?」
「俺ナレーションだから」
妹は俺に抱きついてグイグイ引っ張る。
「ナレーションなんかやってないでお兄も陸上やろうよ〜!」
「だめだ、俺がやめたら誰がナレーションやるんだよ!」
「やだ〜、お兄とやる〜!」
昔からなに一つ変わらない、走ることも、俺への気持ちも。
「よしよし、よくできました」
思えばこの子は、どんな時でもそうだった。
「お姉ちゃんと走ろ、みんないるよ!」
誰かを励まし、手を握ってあげられる子だ。
自信をなくした少年は、あいつと一緒にチームのみんなとまた走ることができた。
「元気になった!」
一人になってなどいないと、ミヤの手を取ることができた。
「お前はほんといい奴だな」
「お兄のおかげだよ!」
「俺はなんもやってないよ‥」
「ぴーす!」
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