【ハロウィン総選挙】「10月31日、また君と」

9 2026/10/12 21:54

音の大きいアラームが静かな朝を騒がしくさせる。

10月31日。久しぶりにカレンダーを見ると「ハロウィン!」という文字が書かれていた。

子供の頃から、ハロウィンは特別だった。

親が過保護だった私の家では、友達と外で遊ぶことは許されていなかった。

だからといって、私の家に招くことも出来なかった。

でも、ハロウィンだけは違った。

小学校のハロウィンイベントを口実に、私は初めて、遅くまで友達と過ごすことができた。

友達の家で笑い合い、時間を忘れて遊ぶ。

帰りたくない気持ちが強くなるほど楽しくて、けれど、楽しい時間には必ず終わりが来ることも知っていた。

中学時代は、勉強や人間関係に追われるうちに、気づけば3年間が過ぎていた。

だからこそ、高校生活は特別だった。

勉強にも、親にも、以前よりずっと縛られなくなった。

ようやく自分の時間を手に入れた気がした。

毎日が楽しかった。

_あの日までは。

あの出来事が起きたのも、10月31日だった。

いつも通り2両目の電車に乗り、窓の外を流れていく景色を眺めながら、今日の予定を思い出していた。

今日はハロウィンイベントの日だ。放課後は友達と合流して、イベントを回る約束をしている。

去年よりも楽しみなのは、きっと、あの子も来るからだろう。

……なんて。自分の考えに、思わず小さく笑ってしまった。

そんなことを考えているうちに、降りる駅に着いた。

私は人の流れに押されるようにホームへ降り、いつもの道を通って学校へ向かった。

教室に入ると、聞き慣れた声がした。

「あ、おはよう」

顔を上げる。

彼女がこちらを見て、柔らかく笑っていた。

「おはよう」

たったそれだけのやり取りなのに、朝から少しだけ気分が良くなる。

彼女は誰にでも優しい。それは知っている。

それでも、私に向けられる笑顔が、他の誰かに向けられるものとは少し違っていたらいいのに。

…そんなことを考えてしまう自分がいた。

「今日、帰りたくなくなっちゃうかもね」

「え?」

「なんでもない。楽しみだね、今日」

彼女はそう言って、私に笑いかけた。

「なにそれ。帰りたくなくなるって、どゆこと?」

「さぁ?楽しいことがあると、そうなるでしょ?」

「……まぁ、それはそうだけど」

そんな返事をすると、彼女はまた笑った。

彼女と話していると、たまにこういうことがある。

何かを知っているような口ぶりなのに、肝心なところは教えてくれない。

本人に深い意味はないのかもしれないけど。

そういう、少し不思議なところも彼女らしさなのだと思う。

「ふふっ、楽しみだね」

彼女の笑顔に、胸が少しだけ高鳴った。

今日は、きっと楽しい一日になる。そう思っていた。

放課後、私たちはハロウィンイベントを回り始めた。

友達と笑い合いながら歩いていると、ふと隣にいた彼女が足を止めた。

「……ねえ、ちょっとこっち来て」

彼女に手を引かれ、人気のない廊下へ向かう。

「…どうしたの?急に」

「ううん。ただ、二人で話したくて」

彼女は少し照れたように笑った。

その瞬間、校内の音が全て消えた。

さっきまで色んな人がイベントを楽しみ、はしゃぐ声が聞こえていたのに。

気づけば、廊下には私たち以外誰もいなかった。

窓の外は真っ暗で、時計の針は午後6時31分を指している。

「……さっきまで、明るかったよね…?」

彼女は答えず、私の手を握った。

「ね、私のこと、忘れないでね」

次の瞬間、目の前が真っ白になった。

いつの間にか、私は友達の隣に立っていた。

時計は午後6時31分。

周囲はさっきと何も変わらない。

ただ、彼女だけがいなかった。

周りは変わらずイベントで盛り上がっていた。

友達が不思議そうに私の顔を覗き込んだ。

「、どうしたの?」

「…ねえ、あの子は?」

友達に尋ねると、不思議そうな顔をされた。

「……あの子って、?」

「ほら、いつも一緒にいる……」

そこまで言って、口を閉じた。

彼女の名前を言おうとしたのに、なぜか思い出せなかった。

急いでポケットからスマホを取り出し、開いた。彼女との写真も、メッセージも、どこにも見当たらない。

__そんなはずがない。

だって、今朝も話した。さっきまで、手を握っていたのに。

ふと、画面の日付が目に入った。10月31日。

その日、家に帰ってから、私は夢を見た。知らない女の子が、私に向かって笑っていた。

『来年も、会えるといいね』

目が覚めると、頬が濡れていた。

そして翌年の10月31日。

教室に入った私に、聞き覚えのある声がかかった。

「あ、おはよう」

顔を上げる。

彼女が、そこにいた。

「……やっと会えたね」

彼女は、まるで私をずっと待っていたかのように笑った。

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タグ: ハロウィン 選挙 10月31日 君

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2: 晴嵐 @kaito0000 2026/10/13 20:21:42通報 非表示

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3: 晴嵐 @kaito0000 2026/10/13 20:22:06通報 非表示

一取れますよ


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