大事なものは無くさないように
2024/07/28 19:40
「背中向けて」
「へ?」
「いいから」
言われるままに背中を向けると、ミヤが抱きついてきた。
「安心するなあ、お兄の背中。ありがとね、あの子を守ってくれて。」
「いや、俺は」
「うんう、お兄がおんぶしてあげなかったら、あの子は捕まってたかもしれない。」
「ねえ、覚えてる?昔ボクが転んじゃった時もおんぶしてくれたよね。」
「今日はあの子に取られちゃったけど、今だけボクが独り占めするの。」
「もうすぐ着陸だが、そっとしておいてあげよう。」
「わかりました。」
ブライトと機動部隊員はそんな会話を交わしたが、二人には聞こえていなかった。
「さあ二人とも、ここが新居だよ。」
ブライトが目の前の建物を指差しながら言う。289は寝てしまったので、ユイトが抱き抱えている。
ブライトが玄関に立っている警備員にカードを見せる。
「セキュリティクリアランスを認証します、お入りください。」
警備員がカードを読み取る。
「続いてミヤとユイトに端末を向ける。
「生態情報を照合します、お入りください。」
「いやあ、すまないね、職員証が届くまでは事前登録した生態情報で関係者を識別するんだ。」
「ちなみに職員証がないまま入ろうとすると‥」
警備員が突然ブライトを取り押さえる。
「即時拘束、尋問の後に記憶処理だ。」
ミヤとユイトは思った、絶対無くさないようにしよう。
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