#12 デド
ほとんど何も聞こえなくなった隣から急に二人で話す話し声が聞こえてきた。
「え?あ、ううん。寝言。…だと思う。ごめんね。」
「ううん、ただビックリした。おやすみ」
どうやら電話で話していたコソコソ声の主のさっきの声がもう一人のルームメイトを起こしてしまったらしい。
「で、それがどうしたんです?」
コソコソ声が聞こえなくなり、カイが私に顔を向けた。
「あ、それで、注意しに行こうと思ったの。」
カイは急に顔中に警戒の色を示した。
やっぱりカイはずっと起きていたことから察するにこの声の真実を知っているのだ。きっと。
「ダメ…かな?」
「やめた方がいいと思います。」
カイはそれだけ言うとまたベッドに入ってしまった。
次は狸寝入りではなくぐっすり眠ってしまった。
カイが止めるのだからそれだけのことがあるのだろう。
次の日の朝、食堂に行くと昨日コソコソ声が聞こえてきた隣の部屋の二人が仲良く朝食を取っていた。
私は二人の少し離れたところの正面に座り二人の顔をじっと見つめた。
この二人のどちらかがどちらかに嘘をついてまでも真夜中に電話で話す用事があるのだ。
いったいどっちなのかそしてどんな用事なのだろうか…。
私が悶々と考えているとカイが食堂に入ってきた。
しかし食事を盛るプレートを取りもせずにまっすぐこちらに向かって歩いてきた。
「先輩。きてください。」
「ちょいちょい、まだ食べ途中なんだけど、、」
「いいから。」
半分引きずられるようにして私は自室に連れ戻された。
カイはドアをバタンと閉めると私を自分のベッドに連れて行った。
「座ってください。」
「うっうん。」
カイはいったい何をする気なのだろうか。
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