日常

6 2021/07/15 18:13

_疲れた。

放課後、静まり返った学校の屋上に立って空を見上げた。

死のうと思った。この生活から逃げ出したかった。

辛い事があるでもなく、嬉しい事があるでもなく。

この何もない日常に意味を見いだせなかった。

誰からも必要とされずに、誰も必要としない人生。

何て、つまらない。反吐が出そうなそれは、固まった絵の具のように邪魔で仕方無い。

そして、空を見上げた__刹那。

私の目には、広がる赤みがかった空と。そこを飛ぶ、一羽の鳥が映っていた。

    孤独なそれを見た瞬間、ああ私だと、無意識に感じていた。

その鳥は、羽根から流血して尚、飛んでいた。大きく、自由に、空を操っていた。

束の間___落下し、

そして、それはまた舞い上がった。澄んだ空に羽根と空気の混じる音を響かせて。

いつの間にかそれを食い入るように見つめていた私は、それを見て何故だろう__叫んだ。

何度も、何度も、叫んだ。

何も分からなかった。

分からないまま、もがいて、もがいて、

生きている。それでも私は生きている。

それだけははっきりと形と実感を伴っていた。

いつまでそこにいたのかは分からない。

私は帰路につきながら、今日あったことをずっと心に秘めていようと思った。

いいねを贈ろう
いいね
6
コメントしよう!
画像・吹き出し


トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する
その他2021/07/15 18:13:42 [通報] [非表示] フォローする
TTツイートしよう!
TTツイートする

拡散用



画像・吹き出し

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する