雪はただ静かに【2】
「んっーう」
その時、リクレが声を出した。
雪は静かに降っていた。
「リクレ?!」
『ウラギリモノ』
「え?」
『私は必要がない人間』
「は?」
『私は誰からも愛されなかった。』
「リクレ!落ち着いてくれ!!」
『人に初めて愛されたと思った。』
『だから好みも全部知りたかった。』
『だから、食べるスピードが遅かった料理は二度と食卓には出さなかった。』
『残った料理は私の嫌いな、肉じゃがと、回鍋肉。』
『毎日のように作って食べていたら、どんどん嫌いになっていった。』
『大好きな料理だった。』
「おい…。」
『昨日、ここへきた。』
『ここでプロポーズされると思ってた。』
『だけど出た言葉は、「その料理飽きた。」』
『感謝の言葉の一つも出なかった。』
「黙れ!!!!お前にそんな事を頼んだ覚えはない!!!!」
『だからもう私は人なんかじゃない。』
『人のためと思って尽くしても、感謝もされないロボットなのよ!!!!』
そう吐き捨てると
リクレは走り去ってしまった。
「待てよ!!!!」
背中に声をかけても止まる気配はない。
また雪がうるさく降っていた。
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