雪はただ静かに【2】

3 2021/07/30 21:38

「んっーう」

その時、リクレが声を出した。

雪は静かに降っていた。

「リクレ?!」

『ウラギリモノ』

「え?」

『私は必要がない人間』

「は?」

『私は誰からも愛されなかった。』

「リクレ!落ち着いてくれ!!」

『人に初めて愛されたと思った。』

『だから好みも全部知りたかった。』

『だから、食べるスピードが遅かった料理は二度と食卓には出さなかった。』

『残った料理は私の嫌いな、肉じゃがと、回鍋肉。』

『毎日のように作って食べていたら、どんどん嫌いになっていった。』

『大好きな料理だった。』

「おい…。」

『昨日、ここへきた。』

『ここでプロポーズされると思ってた。』

『だけど出た言葉は、「その料理飽きた。」』

『感謝の言葉の一つも出なかった。』

「黙れ!!!!お前にそんな事を頼んだ覚えはない!!!!」

『だからもう私は人なんかじゃない。』

『人のためと思って尽くしても、感謝もされないロボットなのよ!!!!』

そう吐き捨てると

リクレは走り去ってしまった。

「待てよ!!!!」

背中に声をかけても止まる気配はない。

また雪がうるさく降っていた。

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