この恋が叶うなんて思わなかった #6 文化祭の日の事故

5 2021/10/31 13:05

あっという間に文化祭の前日である。

「みんな、明日は文化祭だ。うちのクラスが売り上げ1位になるように頑張るぞ!!」

先生が今日はいつになく熱い。

先生はこういう所で熱くなるのだ。

「明日寝坊してくる奴がいたら許さないぞ!」

気を付けないとな、とぼんやり思う知弘であった。

この先生の許さないはどんなのか分からないので怖い。

翌日、皆、気が高まっているのか、知弘が登校する時間には歩いている人が少なかった。

すると、前を歩いている雫を見つけた。

なんだか無性に話しかけてみたくなったので、知弘は雫の所へ歩いて行った。

「おはよう、凄い荷物だね。」

「あ、はい、クラス全員分なので。」

「気を付けて、荷物で横幅が大きいから人にぶつからないようにね。」

変なアドバイスを残して、知弘は角を曲がった。

角を曲がる瞬間、柄が悪そうなザ・ヤンキーみたいな2人とすれ違った。

「変な人だな。」

そのまま知弘が曲がってきた角を曲がり、2人で並んで歩いて行った。

だが、そこで思い当たる事があった。

【2人で並んで】歩いていたのだ。

先程知弘がしたアドバイスが蘇る。

『荷物で横幅が大きいから人にぶつからないようにね。』

ドンと何かが当たる音がした。

「雫が危ない。」

急いで角を曲がり、さっきの場所へ戻る。

ちょうど、2人組の1人に雫が手を引っ張られている所だった。

「何ぶつかってきてんだよ、こっちはムシャクシャしてんだよ。お?」

鬼のような形相で雫に顔を近づける。

雫が恐怖で震えているのが分かった。

そこで知弘はこう思った。

「臭そうだな、口臭が。」

そんなことを考えている場合ではないのだが、そう思ってしまった。

だが、雫の恐怖に震える顔は見たくなかった。

「おい。」

声をあげると、2人組はこちらを向いた。

「なんだよ。」

「お前らな…」

知弘はそう言ってだいぶ間をあけ、言った。

「口臭そうだな!!」

完全に挑発である。

「なんだと!!調子乗ってんじゃねぇよ!チビ!!」

あまり身長は変わらないのだが、年下にはチビと言って先輩感を出しているのだろう。

知弘の狙い通り、2人は雫を眼中から外し、標的は知弘に向いていた。

2人は猛スピードで飛び掛かってくるが、知弘には分かる。

殴る時に下を殴るひとはそう居ない。大半が顔面を狙うだろう。

つまり、屈めば良いのである。

知弘が軽々と屈むと、案の定顔面を狙っていたので、拳は全て知弘のはるか上の方に突き出された。

今のうちだ。そう直感した知弘は2人の間をひらりとかわすと、雫の元に行った。

もう話している暇はない。

「しっかり握っておいて。」

ただ一言こう言うと全力で走り出した、雫の手を握ったまま。

知弘は足の速さはまぁまぁ自信があるが、年上には及ばない。

学校までたどり着くのは無理があるだろう。

知弘には作戦があった。

そのためには、入り組んだ通路のある辺りへ行かなければならない。

そこに行くまで捕まらないことを祈るばかりだ。

雫も足が速いのでついて来れている。

知弘は少しスピードを上げた。

なんとか捕まらずに入り組んだ通路へやってきた。撒いたようだが、どうせすぐ見つかるだろう。

「雫、ここに座っておいて。」

雫を路地裏の大きなゴミ箱の裏に座らせる。

「すぐ帰ってくるからちょっと待ってて。」

「は、はい。」

「これがフラグにならないように頑張って来るよ。ハハ。」

最後はタイミングが合えば成功する。失敗すればどうなるかも分からない。

ここにある交番は、ある角を曲がってすぐの所にある。

ここはなぜか扉が閉まっている為、ノックしないと出てこない。

先程二人組を撒いたということは、ここの構造を知らないと言うことだ。

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その他2021/10/31 13:05:45 [通報] [非表示] フォローする
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知弘、かっこいいなぁ。?


>>1
奢っただけですw


>>3
もの奢っただけなんすよねー


>>4
(*˘︶˘*).。.:*♡


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