ELGAMA #2 真帝王戦恐軍(エンペラント・スケーラー)
レイスは目を開いた。
起き上がって周りを見回すと、そこは白一色で統一された殺風景な部屋だった。
しかも、わずかに揺れている。
まるで船に乗っているようだった。
立ち上がろうと足を動かすと、何かに足が当たった。
そこには男性が横たわっていた。
それを見るなり、レイスは無意識に壁際へ後退りした。
本能が危険だと感じたのだろう。
男性の体がピクリと動き、目が開いた。
そして、壁際に座り込んでいるレイスに目をやると、大きく目を見開いた。
「お前…まさかレイスか?」
「はい、でも、なんで僕の名前を知ってるのですか?そしてあなたは誰なんですか?」
初対面でありながら名前を知っているのはおかしい、と疑問に思ったからだ。
すると、男性はまるで怪我をした自分の子を見るような目をして言った。
「私の名前はスルだ。そうか、君は言われてないんだな…いや、聞かないほうがマシだろうが…」
スルは1人で散々悩み、とうとうレイスの方を見て言った。
決心した顔をして。
「実はだな…お前には…」
すると、レイスたちのいる部屋が大きくガクンと揺れた。
「なんだ?」
すると、先程まで壁だった所が、ウィーンと音を立てて開いた。
「早く出ろ。」
開いた壁の先には、黒いフードを頭まで被り、刀らしきものを背負っている集団がいた。
恐ろしい雰囲気が辺りを漂う。
気がおかしくなりそうだった。
「あいつらはエンペラント・スケーラーだ。真帝王の配下だよ。」
スルが解説した。
黒フードの集団に連れられ、外に出ると、レイスは目の前に広がる光景に圧倒された。
先程まで部屋だと思っていたのは、赤いドラゴンの背中に乗せられた箱状の小さな荷台だった。
石の敷き詰められた薄暗い道を歩き、レイスたちはアジトらしき場所へ侵入した。
3話↓