ELGAMA #17 ルミアナ編 #5

6 2021/12/26 06:58

朝早く、エリントは外の騒がしさで目が覚めた。

「なんだなんだ?こっちはぐっすり寝てるってのに…」

毒づきながら窓の外を見たエリントは目を疑った。

 外には、逃げ回る人々がいた。

________何かに怯えている…ということはエンペラント•スケーラーが来たのか?

 エリントはそう直感した。

「起きろ!レイス!」

エリントは寝ているレイスの顔を思いっきり張った。

「痛っ!」

レイスは頬を押さえて飛び起きた。

 そして、訳がわからない様子でエリントの顔を凝視した。

「エンペラント•スケーラーが来たみたいだ。逃げるぞ。」

「えっ?ここにも来たの?」

エリントは緊張した面持ちでコクリと頷いた。

 二人は宿の階段を転げ落ちながら出口へ向かった。

出口には、受付の人が立っていた。

「何事なんですか?」

「あ、ああ、どうやらエンペラント•スケーラーが来たみたいでして…」

「やっぱりか…」

道に出て見ると、町はかなり荒れていた。

 店や家はなぎ倒され、人々はパニックだった。

「こりゃあ大変だぞ…」

すると、背後から大きな騒音が聞こえた。

 その音はだんだんと二人に近づいて来る。

恐る恐る後ろを向くと、ちょうど地面が盛り上がってできた波が迫ってくるところだった。

「危ない!」

エリントはレイスに飛びかかり、通路脇に転がり込んだ。

「危ねえな…あんなに強い風の光雑法は見たことねえ…」

「え?あれが風なの!?」

すると、崩れた道の影から、人影が現れた。

 黄色い短髪の女性だ。

「エンペラント•スケーラーに女性なんかいたっけな。」

エリントが言った。

「お前、やけに強いな、なんて名前だ。」

女性は黙ったままだった。

と思うと、無表情のまま話しだした。

「…ミア•アリス•マーガレット。」

その声が聞こえた瞬間、エリントの顔は真っ青になった。

「ミア•アリス•マーガレット、い、今そう言ったよな?」

「何回も言わせないで。」

ミアは無表情の顔で冷たく言い放った。

ミア•アリス•マーガレット________レイスはこの名前をどこかで聞いたことがあった。

________ミア、そうだ、ミアはプレク村人だ。

 

「マジかよ…」

エリントは頭を抱えた。

「どうしたの、エリント。」

「どうしたもなにも、アイツは今、名前を全て名乗った!エンペラント•スケーラー内では位が高くないと全て名前を名乗れない、ファースト、ミドル、ラストネームを言うにはよっぽど強かないとダメなんだ!俺は、フデレスト•エリントまでしか名乗れないんだ…」

「と、言うことは…」

 レイスは息を呑んだ。

「俺よりも、強いってことだ。」

 戦闘が始まる。

ミアは、剣を振るい、風の光雑法を繰り出した。

「うおっ!?」

エリントは咄嗟に他の場所に飛び込んだ。

エリントの立っていた地面が抉れた。

「ひ、ひぇぇ…」

エリントは腰を抜かしたようだ。

「か、か、風であれなんだぞ、闇とか電気なんか食らったら、死んじまうよ!」

エリントはブルブル震えた。

 それでもミアは攻撃をやめなかった。

ミアは、レイスの家を出て、右に曲がり、左に曲がり、まっすぐ進み、右に曲がった所に住んでいた。

 母と朝の散歩をする時、会うことがあった。

その時はいつも、「おはよ、レイス!」と声をかけてくれていたし、一緒に遊んだこともあった。

 でも何故ミアが敵軍にいるのだろうか。

答えは簡単に予測できる。

ミアは洗脳されているのだろう。

 目が虚ろで、無表情だ。

17話↓

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