第20話ステップ バイ ステップ⑥
自分の愛剣をいつもの中段に構え、技を振っても剣が飛んでいかないぐらいの強くもなく弱くもない力で剣を握る。
対して相手の黒い鎧の日本刀使いは特に決まった構えをせず、こちらの様子をうかがっている。
日本刀のソードスキルについては無知だ、まずソードスキルすら存在するか分からない。
中段突進ソードスキル『スネーク・ベント』
突進系のソードスキルの中でも特殊で一回だけ方向を変えることができる。
「・・・ッ!」
相手の間合いに入る、相手もすかさず反応してくるので一回限りの方向転換を使い間合いの範囲から逃れる。
「ほう、簡単に間合いに入って来たと思ったが逃げ道を作っていたか・・・先ほどのもの達とは違うようだ」
ソードスキルを使い感で反撃するのではなく、肉眼で見られしかも素の攻撃で反応してくるのはレベルが違いすぎる。
「気を相手から逸らすのは良くないことだ」
まずい相手の言う通りだ。
「ぐっ・・・!」
日本刀と防具がぶつかる。
「お前、手抜いたな」
「貴様は他のものより楽しませてくれると思ってな、あの方の目的達成までの時間潰しには手伝ってくれよな」
「今の攻撃で倒さなかったの後悔させてやる」
「じゃあ私も手伝わせてもらおうかな?」
ポーションを飲み終えたシャルロットが俺の横に立っている。
「早く戦おうと思って、一番高い値段のポーション沢山使ってしまったよ」
少し苦笑いをしつつも片手剣よりも少し長いロングソードを背中から抜く。
「私が隙を作るから、そこにソードスキルを打ち込んでくれ」
コクリと頷く。シャルロットと協力するのは初めてなので少し慣れるまで時間がかかりそうだ。
突然シャルロットはソードスキルを発動させずに日本刀使いに向かって走っていく。
「血迷ったか、それではさっきと同じだぞ?」
「誰が同じと言った?」
シャルロットの左手には腰についているポーションを入れるポーチとは別のポーチから出したと思われる黒、青、白の小さい玉を剣を持っている右手とは逆の左手の指に挟んでいる。
相手は気づいていない。
三色の玉を土の上に投げつける。
三色の煙が相手を覆う。
「・・・」
相手はただ沈黙し、俺の方をじっと見ている。
「今だ!!」
シャルロットの合図でなるべく俺の気配を気づかれないようい低い姿勢で走り近づいて行く。
相手側からは見えておらず、どこら辺にいるか分からないだろう。
左から右に煙と一緒に日本刀使いを斬る。
「・・・え?」
斬ったはずの相手は気付けば俺の後ろに居た。
「ビャク後ろだ!」
背中をモロに刀で斬られてしまった。
「ぐっ」
「君達にしては良く考えた方だと思うが、それも私の予想の範囲内だったようだ。だが悪い手ではないな」
さっきの俺ソードスキルは相手の実力からして防がれたのは当然だが、周りの視界を悪くしても二人の攻撃に対応してくるのは流石に差がありすぎる。
これを打開する方法は何かないのか。
「シャルロット、一つだけ頼みごといいか?」
「ん?なんだ一つだけだぞ」
「 」
「あぁわかった」
「1、2、3で行くぞ、1、2、3ゴー!」
シャルロットは先ほどと少し違う音付きの煙爆弾を使い、二手に分かれる。
俺は日本刀使いに剣を向け、シャルロットは俺が来た道を走っていく。
「仲間を逃したか」
「これならシャルロットの事を見なずに、お前のことに集中できる」
「一対一を望むと言う訳か、面白い。ならば次は私からいくぞ!」
ビュンと風を斬る音が聞こえた時には、目の前に相手の姿はなかった。
俺はここに来る時に使ったスキル「聞き耳」を使い風を斬る音だけを頼りに体を180度回転させて剣を振るう。
かすかに剣が鎧に当たる音が聞こえる。
すかさず前に飛び込んで間合いをつめる。
剣と刀がぶつかる。こうなれば単純な力の押し合いだ。
足と手に全力を込め押す。
すると、相手がバックステップで後ろに飛ぶ。
「押し合いをすると刀が傷ついてしまうのでな、遠慮するよ」
相手が押し合いから逃げため、俺は前によろけてしまう。
下から俺の首を目掛けて刀が向かってくる。
俺が慌てて体を逸らす。
「あっぶねぇ・・・」
一気に頭から冷や汗が出てくる。
短時間で死にそうになっていたら、シャルロットを行かせた意味がない。
後数分は俺一人で戦わなければならない。
至近距離での戦いなら手数の多い片手剣の方が有利だ。
この状況なら相手の全身フルプレートより軽いはずの防具を着けているはずなので、ここからは手数とスピードをメインに戦おう。
スキル「聞き耳」を先ほどから常時発動させているため少し疲れている。
『スネーク・ベント』で相手と一気に距離を詰める。
「最初の時とは別人のスピードだな」
「あいにく最初から全部全力でやれるほど利口に出来てる人間じゃないんでね」
一回きりの方向転換を使い、さっきとは逆にさらに相手の懐に入る。
ここからはソードスキルを使用せずに戦う。
数分間時はほぼ互角の戦いが続いた。
(後数秒なんだ、俺の腕もってくれ)
「あっ」
ついに俺の手から剣が落ちてしまった。
刀が俺の肩を貫通する。
これはいつもの少し痺れるようなレベルではない、現実とほぼ同じ痛みだ。
痛すぎで体も口も動かない。
ごめん、イスズ俺ここでゲームオーバーだ・・・
(続く)
〈後書き〉
初めての方は初読ありがとうございます。
2回目の方はまた読んでくれてありがとうございます。
前回から2週間強という間隔が空いてしまいすいません。今回はノートに書くのは結構早めにできたのですが、打ち込む作業をなぜか家でしなかったと言う原因で予定より大幅に遅れてしまいましたw
ビャクの空白の台詞はご想像ください、すぐなんて言ったか書くと思うけど
いやー。最近、テレビ久々に見よー。と思い部屋のテレビぶっ壊れてですね、アニメの録画のデータも飛び修理できたら保存されたまま帰ってくると言うネットの記事を見たのですが、修理不可能とww
それで新しいテレビを買いに最寄りにないので少し遠めの電気屋に行った訳ですよ
行ったらめちゃくちゃ驚きましたw
画質は良い、画面デカい、薄くなっている、軽くなっている、などの今のテレビとは段違いに良くなっていました
【時の流れってはえー】
って久々に思いましたわw
次回はイロハ編です、交互ご期待します!
ここまで読んでくれた人には、いつもの如くLAボーナスを!
>>6
ちゃうちゃう、「ゲームオーバー」が「ゲームオバー」になってるから、誤字ってるってこと