小説 ピンクバレンタイン 第2話

7 2022/02/13 11:46

無理やり2話につなげたからちょい変かもね、(予定は1話完結だった

楽しんでいただけたら幸いです(

前話→https://tohyotalk.com/question/275236

画像悪すぎ爆笑ww(

本庄 澪(ほんじょう みお)

乾 冬真(いぬい とうま)

冬真さん、と声をかけた。彼がゆっくり振り返る。

その瞳の綺麗さに、吸い込まれそうになる。本庄澪は思わず目を逸らした。

乾冬真──彼は昨日、澪の前に突然現れた。澪を傷つけまいとしていた彼のあの表情が、鮮やかに蘇る。胸が熱いような、苦しいような──そんな感覚になる。

澪が視線を戻すと、冬真が「さん付けじゃなくていいよ」と苦笑交じりにいった。

「というか、会いに来たの?」

冬真が少し、悪戯っぽく笑う。会いに来たというか──帰り道にたまたま姿を見かけて話しかけただけなのだが、澪は頷いた。

「あの、ちゃんとお礼を言いたかったんです。……ありがとうございました」

小さく頭を下げる。冬真がふっと笑う声が聞こえた。

「いいよ、そんなの。お礼を言うべきなのはむしろこっちだし」

冬真はちょっと考えるような仕草をした後、歩き出した。澪の方を向いて、顎をくいと動かす。ついてきて、という意味だろう。澪は少し離れて、彼について歩いた。

ぼんやりと、前を歩く冬真の姿を眺める。彼のすっきりとした黒髪が、夕暮れの光に反射して眩しい。昨日も付けていた赤いチェックのマフラーが、風にゆるくはためいていた。

暫く歩いた後、冬真がふいにコンビニに立ち寄った。外で待ってて、と言われ、澪は傍にあったベンチに腰掛けた。

五分ほどして、冬真が出てきた。はい、と何かを差し出す。コーンスープだった。

「お礼。コンビニのだけど、俺のおすすめだから」

紙容器から、じんわりと熱が伝わってくる。断るのも申し訳ないと思い、澪はお礼を言って一口飲んだ。温かさが体の中に広がる。

ふいに視線を感じて、澪は顔を上げた。冬真と目が合う。首を傾げると、冬真は「あ」と言って顔を逸らした。

どうかしたのか、と訊こうとすると、今度は別の視線を感じた。

コンビニの向かい側に、2年生の先輩女子たち、つまり冬真の同級生たちが立っていた。こそこそと何かを話している。時々、ちらちらと澪の方を窺っている。

あ──と、澪は思った。恋愛経験が殆どない澪でも、この空気ぐらいはわかる。やばい、これ、やばい──周りの空気が、急に重たくなったように感じた。ずしりと、澪の心にのしかかってくる。

もしかして、と思う。

もしかして、冬真がさっき、澪を見ていたのは、これのせいじゃないのか。同級生の女子たちに、誤解されると思ったからじゃないのか。澪を、迷惑だと感じたからじゃないのか。

澪は、即座に紙容器を置いた。

「あの、すみません、私、帰ります」

冬真が、驚いたような困惑したような顔をして、澪を見た。だが、澪は冬真に背を向けて走り出した。言うだけで精一杯だった。

コンビニから遠く離れた交差点の前で、澪は立ち止った。冬真に、申し訳ないことをしてしまったかもしれない。折角、彼がお礼をしてくれたのに。

胸の奥がぎゅっと苦しくなる。あまりの痛さに、涙が出そうになった。

「──────澪!」

叫びのような、大きな声がした。腕がぐい、と引っ張られた。強烈な既視感を感じて、澪は振り返った。

冬真が、立っていた。顔を歪め、はあ、はあ、と肩で息をしている。

「───っ、どうして」

「……傷つけたかと、思って」

え、と掠れた声が、口から漏れた。冬真が、顔を歪めたまま俯く。

「あの、女子たち。澪が、あいつらを見てたから」

ああ──と、頷く。澪の様子を見て、冬真がごめん、と小さく呟いた。

澪はかぶりを振った。耳の奥が、じんわりと熱い。澪、と彼に呼んでもらったのは初めてだ。澪は小さく、弱々しく、微笑んだ。

「ありがとう、ございます。あの、私も、ごめんなさい」

頭を下げる。冬真は不思議そうに首を傾げた。

「あの……さっき、冬真くんと目が合ったときに、その……」

冬真が「あっ」と小さく叫んだ。澪は慌てて「ごめんなさいっ」とさっきよりも深く頭を下げた。

「いや、あの、謝らなくていいから……あの、それは、俺が」

急に、冬真が口ごもった。手で顔を覆い、天を仰ぐようにして上を見ている。耳が物凄く赤くなっている。

「……あ、そうだ、LINE交換してもいい?」

冬真がポケットからスマホを取り出した。友だち追加用のQRコードを表示させて、こちらに向ける。

QRコードを読み込むと、スポーツメーカーのアイコンが出てきた。

「ありがと」

冬真が嬉しそうに微笑む。その表情に、胸がきゅんと温かくなった。昨日と同じ感覚だ。

「あ、あと、冬真くんっていう呼び方いいかも。俺、それがいい。好き」

好き、という言葉に胸が躍る。嬉しくなって、はい、と笑って答えた。

うん、長いな。

読者の方々に質問!(は

冬真視点のやつを書くか、と、ライバルを登場させるか、で迷っております(

ご意見ありましたらコメントにお願いします(

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その他2022/02/13 11:46:19 [通報] [非表示] フォローする
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1: 夢星 @Negai2022/02/13 12:07:14 通報 非表示

…!小説書くのめっちゃ上手い!

次も楽しみにしてますっ!


>>1
(∩´∀`)∩ワーイ


3: 夢星 @Negai2022/02/13 12:22:47 通報 非表示

>>2
かわゆい♡w


>>3
(*´σー`)エヘヘ


両方がいい!((は?

続きも楽しみだ!


>>5
両方がいい、、?w


>>6
う〜ん…

敵が出てきてほしい!


>>7
あぁ、そゆこと!

おけ


>>8
よろしく!


>>10
楽しみだなぁ〜


>>11
( *´艸`)


>>12
(^○^)


別視点って結構面白いから別視点で!


>>14
おけ

書かんかもw今まぁまぁよさげな話でけてるから


17: 莉麻 @rima4689 2022/03/04 21:04:39 通報 非表示

ライバルが出てくるのも白熱する…!今後冬真のどんなかっこいい姿が見られるのか…!


18: 憂. @reme1213 2022/03/04 22:44:49 通報 非表示

>>17
w

もう書かないかもだけど(

今新しい話ができとるんだぁ(


19: 匿名3 @BB7 2022/03/06 21:16:03 通報 非表示

面白いですね!


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