古明地こいしの過去 ※これは東方projectの二次創作です。原作とは一切の関係もありませんのでご注意を

私の名前は，古明地さとり。心を読むさとり妖怪として生まれ育った。

そんな私の家族の使命はただ一つ。さとり妖怪の長に人間を捧げる事だ。その後どうなるのかは､､､､､わからない。

家に人間が来ては捕虜にし，母様が長に提供するのはいつもの事だ。けれど，あの日は違った。

ペットが，少女を連れてきたんだ。完全に無表情の少女。「貴方は誰ですか？名前は？」私が話しかけても何も言わない。

「そう。花岡ほのかと言うのですか」ほのかの思考から，名前を知る。すると，母様が私を止めた。「この子の名前は，SV 514よ。さとり。この子は人間ではなく，長様の､､､､､。いいえ。なんでもないわ」

次の日。私は母様達の目を盗み，SV 514が捕らえられている牢に向かった。

「ほのかさん」私が話し掛けると，彼女は少し反応した様に見えた。私はほのかがどうしても気になり，彼女の状況については母様に聞く事にした。「SV 514は，元は両親と弟妹達と住んでいたの。でも，家族が通り魔に殺されて，彼女だけが生き残った。って所かしら。今は重度の鬱状態ね」訳がわからなかった。折角助かった命を，どうしてこの様に扱う。でも，私は自分の妹にあった事を覚えている。げんのは小さな男の子を助けようとして，私の目の前で首を落とされた。私は取り乱さす，母様に質問した。「もしもの話ですけど，SV 514を助けるとなると，どの様な手段を取れば良いのでしょうか」母様は少し躊躇った様に思えたが，話してくれた。「さとり妖怪にすれば私達家族の一員と認証されるわね」私はすぐさま自室に戻り，夕食を忘れる程までにその方法を調べた。ようやくその術を手に入れた私は，SV 514の牢へ直行。「SV 514。よく聞きなさい。私は貴方をさとり妖怪に変える事に決めました。貴方に拒否権はございません」「､､､､､だ」「はい？」「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」あまりの豹変っぷりに，思わず尻もちを着く。それでも，ほのかのSV 514の癇癪は続いた。「寿命が無いなんて嫌だ！また皆んなに会いたい！」「寿命は存在します！」「それでも嫌！」私は彼女に鎮静剤を与えると，牢を去った。

その夜，母様から呼び出しを受ける。「さとり。貴方がほのかを救いたいのはわかる。けれども，その後はどうするの？」「少しの間拘束する必要がありますね。それに，名前を変更する必要もあります」「そうよね､､､､。頼んだわよ。さとり」「はい。母様の仰せのままに」

私はSV 514が眠りについている間に薬を注入した。そこから待っていたのは，地獄だった。私の言った通り，拘束が必要になった。SV514は，いつもサードアイを切断しようとしている。しかし，人間にコードが引き裂く事は不可能。SV514は最後の抵抗として，コードを絡めた。人間界で普及し始めているイヤホンとやらは，その様にして壊れる事があるらしい。更にそのタイミングで，母様が亡くなったのだ。それと同時に，判明した事が一つ。母様は亡くなる直前まで黙っていたが，実はげんのが持っていた帽子を所持していた。私はせめてもの罪滅ぼしとして,SV514にげんのの帽子を渡した。けれど，SV514は眺めながら撫で回すだけで，被る事は無かった。ますますSV 514が心配になった私は，彼女の私物を見て回る。その中で目についたのが菱形の宝石，緑色のベスト，そして白い薔薇だった。全てSV 514の弟妹達の物。私は部屋に鍵をかけ，夜も眠らず作業を続けた。そして出来上がった物を，翌日SV 514の牢へ持って行く。「これ。貴方のために作ったのですよ。着ていただけませんか？」彼女を待っている間，私はSV514の名前を考えていた。どれもこれも，しっくり来ない。数時間後。またSV 514の所へ行くと，私が作った服を着て座っていた。そして，「どう?お姉ちゃん。似合ってる？」そこにほのかは居なく，SV514でもなかった。脳裏に，3文字が思い浮かぶ。それに加え，かつてげんのが被っていた帽子を使用している。その姿が，げんのと重なったのだ。嬉しくて，涙を流したまま駆け寄った。「こいし。貴方は古明地こいし」こいしは笑顔で頷いた。

この後の事は，知っている人も多い。こいしは嫌われるのが怖くなり，自ら第三の目を閉じてしまった。

服を渡したあの日から，私は一度もほのかには会っていない。でも今は，古明地こいしで居させてあげたいんだ。