この夏の終わり際《第一話》【小説】
「……。」
本当にクソ暑い。
リビングの中に窓から日光が差し込む。近くに自然があるからかミンミンゼミの鳴き声が聞こえる。
紺色の髪に紺色の瞳を持っていて、黒のカチューシャにチェックのコートとスカートに黒のリボンに白のシャツを着ている彼女の名前は星宮夜。
いきなりスッと彼女は立ち上がると、キッチンの方へと向かった。
冷蔵庫の目の前に立ち、冷凍庫を勢いよく開く。
中には水色やピンク色のアイスキャンデーがプラスチックの袋に詰められている。
そのうちの、水色のソーダ味のキャンデーの木の部分を掴んだ。
「……冷たい。美味しいわ絶対。」
アイスキャンデーを口に突っ込むと、キッチンから去った。
また、リビングに居座るのかと思いきや、魔導書の置かれている本棚へと向かった。
本棚は複数部屋に配置されていて、その一部屋は本棚と本しか置かれていない。地震の時一番来ちゃいけない部屋である。
本棚から青の小説サイズの魔導書を持つ。彼女の愛読書である。
愛読書を持ち、グラグラ揺れる椅子に座る。音楽CDを再生する。
アイスキャンデーをぺろぺろと舐め、愛読書のこれでも”超難関魔導書”を読む。
これが彼女にとって至高の時間である。
”ピンポーン”
玄関からチャイムの音が鳴る。
「……リラックスタイムなのに...一体何かしら?」
彼女は口を開けると、そう少し怒り気味の声を出す。
それとは裏腹に表情がニコニコしていた。理由としてあげられるものは...
【もし、海野だったらどうしよ!!】
海野とは星宮夜の好きな人である。海野が来る理由なんて無いが妄想で来る来ると思い続けていたため、来るんじゃないかなぁというかなりやばい思想からである。
ガチャリ。
「はーい。どちら様ですか...?」
勢いよく玄関に走りドアを開くと、そこには誰も居なかった…と思いきや。
「ふん……そこらの奴じゃい。」
と喋る。しかし何処で喋っているのだろう。
「何処...?」
そう喋ると、
「ここじゃい!!下!!」
と言われたものなので下を向く。
下には白狐がおり、毛先は水色。
眼は閉じていて赤色のメイクのような物を塗っていた。
左側に糸のリボンを付けており、後ろには赤と白の太い糸のリボンを付けていた。
怨霊みたいな青の炎がふわふわ浮いている。
「えぇ...日本語喋れるんですか。最近の狐は、」
そう戸惑い貴方へと言うと。
「余は最近の狐じゃない!!一万年ちょい、余裕で生きとる!!!」
そう歯向かうもんでうるさいものだ。
「じゃ、貴方の名前は?どうせ住む場所が無くなったとかそんなもんでしょ?」
そう、余裕ぶっこえて貴方に言う。
「ふん……まぁ...いや。神社あるじゃろ!!この辺に!!氷海神社...そこの神様じゃ。まぁ...空狐という所じゃな…そして余の名前は...」
話の展開が速く、何を言っているのかが分からなくなる。空狐とは一体何なのだろうか。
「えっと...空狐って何?」
「三千歳を超え、神通力を自在に操れる最強の大神狐。千歳を超えた老狐。強力な神通力を持ち、神となった狐。
千里眼を持ち、さまざまな事物を見透かす能力がある天狐からさらに2000年という長い年月を生きた善狐が空狐に成る…。」
「へぇ…そうなんですね、で名前は?私星宮夜。」
「余は氷海狐。海とでも呼べ。」
「あぁ…はい。そして用か何かあるのです…?」
「それは…」