【小説】BTSと私 第12話
BTSについての小説を書かせていただこうと思います
ときどき他のBTSメンバーやTWICEメンバーも出演します(BLACK PINKメンバーも出演させる予定でしたが、話がややこしくなるといけないので、やめました)
ぜひ読んでみてね!
〈登場人物〉
・私(○○)・ユンギ・ジン・ナムジュン・ホソク・ジョングク・テヒョン・サナ・ミナ・ナヨン・ジヒョ・チェヨン・ダヒョン・ジョンヨン・モモ・ツウィ
〈本編〉
「どういうことですか!?」
テヒョンが怒った声で叫んだ。ほかのお客さんがこっちを見てる。私はすっかり縮こまってしまった。
「どういう・・・ことって・・・」
「ヒョン、落ち着いてください」
グクがポカンと口を開けたまま言った。テヒョンはそんなグクを見て、ため息をつきながら腰を下ろす。
「説明してください」
ぶっきらぼうに言われて、私はうつむきながら話した。話しながら、なんでこんなことを、この二人に話さなくちゃいけないんだろう、と思った。
「あまりわかりませんけど」
テヒョンが言った。
「ユンギヒョンは怒ってますよ。あなたがいなくなったこと。せっかく連れてきてやったのにって。あなたが寂しいって言ったから、それを解決するためにしたことなのにって。あなたのためにしたことだったって」
私は立ち上がった。テテとグクはびくっとした感じでこちらを見上げた。
「―いいわよ」
私は、ハアハアと息を乱れさせながら、テヒョンを見て言った。
「やっとわかった。あなた、彼に言われて来たのね」
テヒョンは「ぼ、ぼく・・・?」とあたふたしながらグクを見た。グクもキョトンとして私を見上げている。私は泣きそうだった。
「もういいよ。彼は最初から私の気持ちを尊重なんてしてなかった。わかってたよ、そんなこと。でも・・・でも、心のどこかでは信じてたのに。もうおしまい。日本に帰ろう・・・」
最後は涙声になった。バッグをひっつかみ、お金をカウンターに置くと、店のドアへ向かう。
テヒョンとグクが何か叫びながら追いかけてくるのが分かったが、無視して、お店を飛び出した。
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、駅のほうへ走る。どこもかしこも韓国人。何をしゃべってるの?あなたたちもARMYなの?全部不安でたまらない。早く日本に帰りたい。
道路を渡ろうとしたとき、突然、腕に痛みが走った。振り返ると、テヒョンが肩を大きく上下させて、私の手首をつかんでいた。後ろには目を真ん丸にしたグクが立っていた。
ついこのあいだの私なら、「可愛いなあ」とか「もっと驚かせてあげようかな」とか思ったと思う。目の前のテテにだって、こんな無茶苦茶な態度をとらず、精一杯可愛く見えるように気を使って、「かっこいいな」って毎日思ってたと思う。
でも、私はあまりにも調子に乗りすぎた。はしゃぎすぎた。だから私は・・・ユンギも、何もかも失った。
「・・・離してください」
私は前を向いてつぶやいた。テヒョンは黙っている。私は振り向いて、テヒョンの顔をにらみつけた。
「離してください!」
テヒョンがゆっくりと首を振る。私は顔をゆがませて、テヒョンの手を振りきろうとした。テヒョンも私の手首を握る手に力を込めている。勝てるわけない。私はあきらめて、力を抜いた。
涙がこぼれた。
「なんで泣くんですか」
テヒョンが言った。私は首を横に振った。話す気にもなれない。とにかくはやく帰ってほしい。構わないでほしい。
「まだやることがあると思いますよ」
テテの声は優しい。でも私は疲れていた。
「お願いだからあっちに行って!」
最後の力を振り絞って、テテの手を振りきると、私は道路へと駆け出した。その瞬間だった。
「危ない!!」
キキーーーーー!!!!!!!!
頭と背中にものすごい衝撃が走る。ふわっと宙に浮かぶ。そして、背中に強い痛み。
ドンッッ!!
クラクションの音が響く。それっきり、何も見えなくなった。
〈続く〉
BTSと私 第13話