なんやこれwwww
上場企業株式会社にとりましても、当然のことでございます。
「はっ! 承知いたしました!」
と、社長以下社員一同で頭を下げるわけですが……それもこれもすべては、我が社の商品をご愛顧下さっているお客様のおかげでありますれば……我々も全力を挙げてその期待に応えなければなりません。
「この度は大変お世話になりました」
と、お客様からお礼のお電話などを頂戴しますと、皆一様にホッとした気分になるのですが、それと同時に、
「もっと頑張らなきゃあ……」
という気持ちにもさせられるものです。
それにしても、今回の一件では本当に多くの方々にご迷惑をおかけしてしまいました。
まず第一には、やはり私自身の不注意のせいでしょうね。
私はつい先日、会社の車で外出した帰り道、高速道路上で急ブレーキを踏み、危うく追突事故を起こしそうになったばかりだというのに……今度はまた別の日に、同じ高速道路上でスピード違反をやってしまいました。
しかも今回は、同乗者が一人おります。
これはもう、言い訳の余地なしですね。
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上場企業株式会社にとりましても、お客さまからのお問い合わせが殺到しております。
そこで当社といたしましては、この度、『あなたの街の便利屋さん』をキャッチフレーズとして掲げる新会社を設立致しました。
つきましては、今後とも当社との一層のご懇意を賜りたく存じ上げますとともに、是非とも当新会社への格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます」……なんだこれ? 俺はその手紙を読んで首を傾げた。
「いやあ、さすがは社長ですねえ!」
田辺が俺を見て感心したように言った。
「何だそりゃ?」
「つまりですよ。
社長の会社の傘下に入りたいってことですよね?」
「傘下?何の話だよ」
「だって、そう書いてあるじゃないですか。
『あなたの街で便利な便利屋さん』ですよね?」
「ああ……。
まあそういうことなんだろうな……」
俺は手紙を読み直しながら曖昧に答えた。
確かにそこにはそんなことが書かれていた。
しかし……これはどう考えてもおかしいよな。
普通こういうのって、もっとこう……。
「でも社長、凄いですねえ! たった一日でこれだけの人から手紙が来るなんて。
しかもこんなにも沢山!」
田辺は机の上に積まれている大量の封筒を見ながら言った。
それはまさに彼の言う通りだった。
今朝出勤すると、既に事務所には昨日と同じくらいの量の封筒が置かれていたのだ。
中には数十通という数のものもあった。
そして、それらの殆どが先程読んだような内容の手紙であった。
「なんか大変なことになりましたねえ」
「ああ……」
俺は溜息混じりに相槌を打った。
正直言って俺は困惑していた。
確かに昨日の一件以来、それなりに覚悟をしていたつもりではあったが、まさかここまでとは思わなかった。
「それで、どうしますか? 全部引き受けちゃいます?」
「馬鹿言え。
出来るわけないだろ」
「でも、結構お金になりそうな話も多いみたいですけど?」
「だからってそんなにホイホイ引き受けられるか。
第一、いくらなんでも多過ぎるんだよ。
それに、この手の連中は信用できないからな」
「そうですか……」
田辺は残念そうだ。
「まあ、こっちで処理できるものはいいんだが……。
どうしても無理なものについては断るしかないかもな。
ただ、なるべくなら穏便に済ませたいし、出来れば相手の出方を見たいところだが……」
「わかりました。
じゃあ、とりあえず保留にしておきましょうか?」
「ああ、頼むわ」
俺が答えると、田辺は早速その山のような手紙を整理し始めた。
俺の方も仕事を始めなければならないのだが、今日はまだ頭が上手く働かなかった。
というのも、今朝見たあの夢のせいであった。………………
「……うっ!?」
突然の激しい頭痛に襲われて、私は目を覚ました。
一瞬ここがどこなのかがわからなかったが、すぐに思い出した。
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田辺...誰やねん...