記憶のない少女と… 第1話
私には13歳くらいまでの記憶がない。今まで自分が何をしてきたのか、自分は何者なのかもわからない。だが、1つ?2つだけ覚えてることがある。
「いい?あなたのこれからの名前はナナキよ」
そう言われたこと。そして、私はいつも一人だったこと。両親は離婚。私は母親に引き取られた。が、母親は男と遊ぶばかりで一向に帰ってこない。おそらく、もう戻らないだろう。出ていく前に3万ほど残していったけど、それだけで生活できるわけがない。電気もガスも水道も止まっている。私は未成年だから働けない。アパートの個室で一人、たまにお隣さんやオーナーさんが食料を恵んでくれるけど、それもいつまで続けてくれることか…。そんな絶望しかない暗闇に暮らす私。そんなある日私と同じか1つ上くらいの少年が2人、私の暮らす個室にやってきた。その2人は、私から見たら1人は眩しい太陽で、もう1人は夜に眩い月光のような人たちだった。
少年1:うわっ!本当に暗くて悲しげな部屋だな。
少年2:それよりも、僕たちの目的はあの子だろ。
2人が私の前に来て
少年1:君がこの部屋で暮らしてる女の子?
私がうなずくと
少年2:あたりだな。じゃあ、まずは自己紹介だな。僕はマサキ。まぁ、コードネームだが。
少年1:俺はシド。もちろんコードネームだ。
そう言うと、2人は私に手をさし出し
シド:君には一緒に来てもらいたい。
マサキ:君はこれから僕たちの仲間になってもらうよ。
行くあても、生きる理由もなかった私は、さし出された手を取った。
シド:よろしくね!
マサキ:まずはアジトへ行こう。他の仲間を紹介する。
私が連れてこられたのは山奥の大きな家だった。玄関につくと、メイドさんが並んでいた。
メイド1:おかえりなさいませ。シド様、マサキ様、お嬢様。
メイド2:クラウス様、ギルティア様以外は全員そろっております。
マサキ:ギルティア、アイツはいつものことだ。
シド:ギルに振り回されてるクラウスは気の毒だね。
そう話しながら歩く2人は広い部屋に入っていった。それに続いて私も。中に入るとそこには5人の少女がいた。
シド:紹介するよ、手前で話してる2人は右がステラで左がメリダ。向こうの金髪がエリカ、パソコン使ってんのがモニカで、電話してるのがイリスだ。そのうち残り2人も…
シドが言いかけたとき。ドアから1人、窓から1人少年が入ってきた。
マサキ:遅刻だ、ギルティア、クラウス。
クラウス:悪いな。
マサキ:全員集合してくれ。紹介する、シャドーロストの新たな仲間だ。
シド:この子には週末に控えた。殺人バクテリアを盗み出す任務にあたってもらうことになってるからギルたちはよろしくな。
メリダ:それは、ボスからの指示?
シド:そうだ!
イリス:なら、ここでコードネームも決めちゃいましょう。
マサキ:確かにそうだな。希望はあるか?
私:ナナキ、ナナキがいいの。
ギルティア:いいじゃん!これからよろしく、ナナキ。
女子たち:ナナキ、よろしくね。
クラウス:よろしく頼む。
マサキ:よろしく。
シド:コードネーム、マサキのに似てる…。まぁいっか、これからよろしくな。
ナナキ:はいなの。
このときの私はまだ知らなかった。私の中に隠れた…