小説 / 我慢

みんなに計算が早く終わらないことをバカにされて、とても悔しかった。

悔しくて恥ずかしくて、泣きたかったけど我慢をした。

こんなことで泣きそうになる自分が情けなかったので、自分はメンタルが弱いんだと、少しのことも我慢ができないんだと思った。

自分はダメ人間だから仕方ないと言い聞かせた。

自分の悪口を言われているところを見てしまった。

そう言えば、自分も誰かの悪口を集団で言っていたような。

そう考えたら、こんなことをされてもおかしくないと、すべてを受け止めた。

自分が悪かったんだと言い聞かせた。

良かれと思ってやったことが、すべてマイナスになってしまった。

周りのみんなからひどく怒られた。そのことがあってから一週間くらいずっと陰で言われ続けた。

許してほしかった。でも自分がやったことは変えられないと思って、これからの行動に気を付けようと思った。

そこで、みんなが許してくれるように、自分から相手の言うことをきちんと聞くことにした。

みんながやりたがらないことを進んでやる。それが今自分ができるみんなへの精一杯の行動だと思い、なんでも笑顔で引き受けた。

「これで皆が許してくれる、だから耐えるんだ」と言い聞かせた。

いじめられている子を見た。

誕生日に生ごみを「プレゼントだよ」と言って渡されてたり、何か意見を言ったりすると馬鹿にされたりしていた。

どこかいつかの僕みたいで、ほっとけなかった。

そしていつかその子の心が壊れてしまうと悟った僕は、何かできることは無いかと考えた。

だけど自分はずっと我慢をしてきたので、あの子も我慢をするべきだと思った。

「僕ができるんだから、君もできるよ」と言い聞かせ、助けるのをやめた。

自殺した人がいると聞いた。

その人は、自分があの時見たいじめられている子だった。

自分の中でいろんな感情が混ざり、「あの時行動していたら」と考えてしまい、過呼吸になった。

でも、僕があの時に話を聞いたとして、あの子は楽になれていたのだろうか？

心に負った傷は、一生消えることがない。傷を負ったままあの子は長い人生を歩んでいけたのか？

自分が何をしていたとしても未来が変わることはないように感じて、やるせなかった。

あの子にとって死は「救い」だったんじゃないかと思うと、またぐちゃぐちゃになっていく。

「よく頑張ったね、お疲れさまでした。」と独り言を言い、仕方なかったと言い聞かせた。

すべて「自分の責任だ」と洗脳して飲み込んできたから、孤独な感情には慣れてしまった。

我慢を積み重ねれば成長できると言い聞かせ、今日もまた生きていく。