《小説1話》月夜の白神よ、今宵も舞いましょう...
ピーッ...ピッー...と通信機器から音がする。
悠亜は面倒くさそうな表情をしながらでる。
「...はい...」
通信機器からは微かに声だけが聞こえてくる。
いきなり悠亜の顔が歪む。
「...は?...いやちょっと待ってくださ...」
プツッと通信が切れる。
ハァ...とため息をつき、壁をドンッと殴る。
「何が...学園に潜入しろ...だよ...」
そしてその場に崩れ落ちる。
「学園が1番嫌いなんだよ...」
今回彼女に下された命令は、“学園に潜入し、生徒教師を全員排除せよ”という命令だ。
悠亜はどういうことか学校全体が嫌いなようなので、嫌がっているのだろうか。
「はは...まぁ殺らなきゃ私が殺られるだけだし...」
そう呟いている彼女の背後に、スっと移動してきた人物がいた。
「やぁ...相変わらず面倒くさそうにしますね...悠亜さん...」
そう言ってニコッと不気味な笑顔を向けるのは白天黒夏(はくてんくろか)。
悠亜の側近に当たる人間だ。
主に黒夏は悠亜のアシスト、そして研究をメインとしている科学者なのだ。
「ああ...白天か...どうしてあんたがここに?」
「いやぁ...あなたに明日から学園に侵入してもらう為の準備をしてもらおうと思って来たんですよ。これ、学園の制服や変装道具が隠されているバッグです。これを渡しに来ただけなので、去りますね?」
黒夏はそういい、立ち去っていく。
「あいつ...勝手に渡しやがって...」
そう呟きながら、鞄のなかを見る。
「メガネ?それと...カラコンって...めんどくさいなぁ...」
鞄を肩にかけ、家に帰っていく。
立ち止まって空を見てみると、雲がかかっていて月が見えない。
(これからどうなるのやら...)
そんなことを思いながらもまた歩き出していく。
自身への気持ちというものを心の奥底に抑えて...
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