輝夜の過去(その2)
永琳「とっともかく!そんな勝手な理由でこんな所に居続ける訳にはいかないのです!」
輝夜「ふーん、そもそもここに来る事になったのは、元はと言えば貴方の所為じゃない。」
永琳「ぐっ・・・」
輝夜「永琳。
______(他の月からの使者を指差して)あいつらをやって。」
永琳「は・・・?」
輝夜「どんな時も一緒にいた私なら解る。貴方、月の都でちやほやされるのが気に入らないのでしょう。
そこに私の罪よ。勝手に期待されていたのに勝手に心無い言葉をぶつけられたのでしょう?きっと。それを貴方は気に入らない」
永琳「・・・・・・・・・・・・・・」
______全く、その通りだった。
永琳は「月の頭脳」と呼ばれる程に月人の中でも頭が良い。
だからと言うべきか・・・傲慢な月人からも慕われる存在であった。
だが永琳は、どちらかというと孤独を好むタイプで、自らの様々な苦労を何一つ知らない他人にちやほやされるのがかなり嫌い。
そんな永琳にとってのただ一人の理解者が、
蓬莱山輝夜であった。
彼女は飾らない美しさを持っており天真爛漫で、永琳の人知れぬ苦悩を全て知っていた。
そこには永琳も素直に惹かれた。
だが明くる日、永琳が間違って生み出してしまった「蓬莱の薬」を・・・
輝夜が、
飲んでしまったのである。好奇心旺盛な彼女が・・・
そのことは月の都で大罪とされ、輝夜は穢れた地・・・人間世界に送られたのであった・・・
後悔した。物凄く懺悔した。
あの時、もう少し分かりづらい所にあれを置いていたら。
あの時、蓬莱の薬を直ぐに捨てていたら。
彼女は私の隣で、今も笑っていられたかもしれないのに______
更に月人達の心無い言葉が、心をざっくりえぐった。
私はそんなの知らない。あなた達が勝手にちやほやしてた癖に。私が望んでいないのに。
ついに衝動的に、残った蓬莱の薬をこっそり飲んだ。
ちなみに全くばれる気配はない。
流石月の頭脳と称されるだけある。
だが永琳も本当は、
もう月の都には帰りたくなかった______
永琳「・・・承りました。」
輝夜「ふふ。そう来なくちゃ。」
あっという間に近くにいた人達が月の都からの使者と共に消し飛んだ。
輝夜「もう?ひどいなあ、私の弾幕はなまってないわよ~」
永琳「・・・」
永琳は無言だった。だが・・・
彼女の顔は、嬉しそうにほころんでいた。
(終)
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