渡るもの藤原妹紅 千差万別
永遠亭の和室、入り口からは少し離れた所の、落ち着いた場所で仮説を聞こうとしていた。
「で、その仮説っていうのは?」
「かくれんぼで一番見つからない場所ってどこだと思う?」
私は永琳が私の「かくれんぼ」のことを知っているかもしれないようなことにまぁ、永琳だしという気持ちで今は受け止めながら、その問いに答えようとした。
「可能なら、相手の視界にずっと入らない場所、鬼の背後とか?」
「現実味はないけど、一般解はそうね。でも、もっと絶対に見つからない方法があるの」
「これ以外の方法...場外に行くとか?」
「良いわね、その発想、でも...」
永琳が数秒の間を置いて言った。
「妹紅は完全犯罪って、成功した事例は知ってる?」
「そんなことは不可能だからな、成功した事例は、ないんじゃないか?」
永琳が不敵に笑った。
「ええ確かに真の完全犯罪は不可能だわ、でも普通の完全犯罪なら、例え不可能と言われていても、それは成功した事例がないから不可能なんじゃなくて、成功しても事例にならないから不可能と言われるの。誰かに知られればそれは完全犯罪じゃないからね」
「どう、それをかくれんぼに?」
「子供の頃、何回か遊んだかくれんぼも、今となってはただの幻想、そんな風に、幻想になってしまえば、永遠に見つからないのよ。つまり、最初から鬼はいなかった。隠れる側もいなかった。そして、かくれんぼをしたという事例はなかった。そう、起承転結、序破急、それがない幻想こそが、かくれんぼにおける最も見つからない場所、唯一の場所なの」
「つまり...ここは幻想郷ではないと?」
ほんの少しだけ、永琳が出逢ったばかりのひぐらしが泣き終わり、コオロギの泣いていたあの頃に、似ていた。
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