【春総選挙】春の約束
登場人物:私、タクミ
「春の約束」
春の風がそっと吹き抜ける公園。満開の桜の木の下で、私は彼を待っていた。名前はタクミ。約束したのだ。「春になったら、桜の花が咲いた頃に会おう」と。
数ヶ月前、彼と別れた日、私はこの春に再び会えることを信じて待つことにした。桜の花が咲く頃、彼もきっと戻ってくるだろうと思ったから。
ぽんぽんと桜の花びらが地面に舞い落ち、風に乗ってふわりと空を舞った。その景色を見ながら、少し不安がよぎる。もし彼が来なかったらどうしよう…そんな思いが頭をよぎったその時、遠くから見慣れた背中が見えた。
「タクミ…?」
彼が近づいてきて、少し照れたように笑った。少し大人っぽくなったけれど、目の奥にあの頃の優しさが変わらず残っていた。
「遅くなってごめん。」タクミが座り込んで言った。
「待ってたよ。」私は頷き、心が温かくなるのを感じた。
タクミはゆっくりと桜の花びらを手のひらに受けて、「この花が散る頃にまた会おうって、君と約束した日が、すごく懐かしい。」と、小さく呟いた。
私は静かにその言葉を聞いていた。桜の花が風に舞い、二人の周りを囲むようにひらひらと舞い降りる。その風景がまるで、あの頃の約束を思い出させてくれるかのように、何度も何度も花びらが舞い落ちた。
「春が来て、桜が咲いたら、きっとまた会えるって、信じてた。」私は静かに言った。
タクミは少し驚いた顔をして、そしてゆっくりと私の目を見つめた。「僕も。」と、彼は言った。
その時、桜の花が一斉に風に乗って舞い上がり、二人の周りを囲んだ。春の光が柔らかく、温かく、二人を包み込んだ。
「これから、また一緒に歩いていけるかな?」タクミが静かに問いかけた。
「うん。」私は微笑みながら頷いた。
桜の花が次々と散っていくその瞬間、私たちの間にあったすべての距離が、少しずつ縮まっていくのを感じた。