最弱スキル【鑑定】で始める、最強魔王の後継者

3 2025/05/01 10:28

第一章 追放と覚醒

「……はは、見ろよ。“鑑定”だってよ。魔法も剣も使えないってさ」

騎士たちの嘲笑が神殿に響く。

王都リュミエール、召喚の間。

金と大理石に彩られた荘厳な空間の中、結城晴翔は一人、床に座り込んでいた。

目の前に浮かぶ青白いウィンドウには、無慈悲な文字列が並んでいる。

結城晴翔(ゆうき はると)

Lv:1

職業:鑑定士(Apprentice Appraiser)

スキル:鑑定【EX】

魔力量:E

筋力:E

敏捷:E

知性:C

運:?  

(……ふざけんなよ。これ、俺一人だけ明らかに弱すぎるだろ……)

同時に召喚された他のクラスメイトは、炎の剣士、雷の魔導士、風の暗殺者……と、いかにもRPGでチート級の職業とスキルを与えられていた。

晴翔に向けられる視線は、同情、侮蔑、そして──無関心。

「結城くん、君は……王都にいても足手まといだ。しばらく辺境で暮らしてもらう。神の加護があるなら、生きていけるだろう」

無表情な王の宣告。それが、異世界における“死刑宣告”であることを、当時の晴翔はまだ知らなかった。

三日後。

王都を出て、最果ての村「ルヴェナ」に追放された晴翔は、崩れかけた倉庫のような小屋を住処にされ、ろくな装備も支給されず、野宿同然の生活を送っていた。

「……クソみたいな世界だな。勇者って、もっと歓迎されるもんじゃないのかよ……」

冷え切った床に座り、晴翔は空腹に耐えながら、ただ一つのスキル【鑑定】を試し続けていた。

木の葉を鑑定すれば「薬草(ランクF)」

石を鑑定すれば「ただの石ころ(無価値)」

虫を鑑定すれば「小型毒虫(微量の神経毒)」

(──でも、これ。異常な精度だ……)

晴翔は気づき始めていた。

【鑑定】の視点は、“表面の情報”ではなく、“真の本質”を暴くものだと。

そしてその夜。

彼は村の廃墟の中、封印された古びた石碑を見つける。

スキルを発動する──

【対象:封印石碑】

鑑定結果:魔王アスヴァルトの魂封印核

状態:極限封印中

解放条件:魔王適合者との魂融合

「……魔王?」

その瞬間、晴翔の目に闇の文字が浮かび上がる。

黒き炎が石碑から立ち昇り、彼の身体を包んだ。

魂融合開始──適合率:100%

魔王スキル【奈落の支配者】を継承します

そして、世界が静かに変わり始めた──。

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タグ: スキル 鑑定 最強魔王

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