「未来視とIFで学園無双 〜転生魔王、正体を隠して妹と日常を守る〜」

3 2025/06/13 15:11
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第1章:転生魔王、初めての学園で違和感を抱く

「ふぅ……学園なんて、何百年ぶりだろうな」

朝の陽光を浴びながら、ナツキ・レオンは制服の襟を直した。魔王として世界を焼いた日々が、まるで遠い幻のように思える。

「お兄ちゃん、緊張してる?」

横で笑う妹、リアはまだ無邪気だった。

この世界に来てから十数年。彼女は、本当の妹ではない。だが、血より濃い絆がそこにはある。

(この世界では、リアだけは絶対に守る。それが俺の選んだ“IF”だ)

通い始めたのは、名門・エルステラ魔導学園。

貴族や才能ある者たちが集まる学園で、ナツキ家もその一端を担っているという設定らしい。魔王だった頃のカリスマと知識をベースにした詐欺みたいな適応能力で、入学はあっさり決まった。

「初日は身体検査と適性試験だけだって。頑張ろうね、お兄ちゃん!」

リアの声が、ナツキの中に温かく響く。

だがその温もりの中に――不穏が、あった。

(……未来視)

ナツキの目が細められる。時の流れを断片的に覗き見るその能力は、さっきから何か“妙”な像を何度も映し出していた。

「黒い霧……封印……そして、リアが……!」

脳裏に焼き付く映像。

校舎裏の旧魔導塔。開かれた封印。赤い魔眼と、崩れる地面。

その中心に、リアが泣き叫びながら立っている――。

「やはり、この学園にも“魔の遺産”が残っていたか」

ナツキは決意する。

(俺の存在が目立てば、いずれ過去に繋がる。だが……動かねば、リアが死ぬ)

「お兄ちゃん? どうしたの?」

「……いや、なんでもない。リア、先に教室に行っててくれ」

「うんっ!」

妹が去った瞬間、ナツキは誰にも気づかれぬ速度で屋上へと飛び上がった。

彼が動けば未来が変わる。未来が変われば、IFが増える。

ならば――選び続ければいい。

最も“妹が笑っていられる未来”を。

「旧魔導塔、だな。さて、最初の介入といこうか」

魔王はまだ、影にすぎない。

だが、学園の平穏は――その日を境に、静かに歪み始めた。

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