僕のヒーローアカデミア✖︎東方Project ヒーローと巫女さん 第五話:入学試験
バスン、布団を畳む音がする。博麗霊夢は起床し、菫子が昔使っていた布団を畳んでいた。紫カーテン越しだが光で日の出はもう過ぎた事が分かり、そういえばと、時計を見ると、午前五時と少しだった。─横になっているだけでもいいから寝たい・・・─そう想いながら、まだあまり慣れない家を移動して、リビングへと向かった。リビングに着くと、ペン立てやら、引き出しなどを探して、鉛筆と、内容を見るに要らなさそうな紙を持ってきた。音をあまり立てない様に椅子を引いて座ると机に向かった。こちらの世界の調査のプロットを考える様だ。その間でも静かにしようと気を付けながらも声が漏れる。
「・・・そもそも、紫が自分を送った理由も分からないし、幻想郷がちゃんと機能しているかも気になるし、お酒もタバコもこっちじゃなぁ、でも一番気になるのは朝はあんなだった紫が急に忙しいなんて言った事だし・・・」
独り言を呟きながら、不安要素や調べるべきな疑問、そこまでの筋道、意識すべき事...いろんな事を考えたり、書き出したり、呟いたり、そうしているといつのまにか午後六時になり、切りが良かったのか、霊夢は時間を確認して少し考えた後、鉛筆を置いて、朝食の用意と菫子を起こす事にした。冷凍庫を漁るとパンが冷蔵してあり、それを電子レンジで解凍しておく─ジャムとバターでも出しておこう─その間に菫子を起こしに行く、部屋の扉を軽くノックをして、返事が無かったので入ると、本人は目は覚めていたが、掛け布団から出られない様だったので、えいっと引っ張って起こさせた。
「おはよう、菫子」
「・・・・おはようございます」
菫子は不機嫌そうに口を富士山にしている。一緒に靴下が床を擦る音を出しながら、リビングへと向かう。今更だったが霊夢は朝食を用意した時、わがままに用意したので、ちゃんと使って良いものだったのか心配したが、菫子も電子レンジの音とパンの匂いでなんとなく察したのか、朝食の用意への感謝と使っても良い材料だった事を言ってくれた。そして朝食は初めて作ったパンを食べながら─あれだけで、作ったと言える人類は少数派だろう─パンを食べながら菫子が言う。
「そう言えば、昨日はこっちの説明とかで一日使っちゃいましたけど、霊夢さんはこれからどうするんですか?」
「・・・ヒーロー側かヴィラン側、一般市民側どれについたら、一番良いか考えてて、それによって変えるつもり、まぁ、一番性に合うのはヒーロー側だし、ヒーローにでもなろうかしらね」
菫子が食い気味なのかに素早く返す。
「それをやろうと思うとかなり大変ですよ、ヒーロー科がある所は軒並み偏差値がかなり高く、戦闘と筆記の二段構えの入試を実施する所が殆どで、霊夢さんのことなら実技は何とかなるかもしれませんが、とにかく筆記がボロボロになる気が」
「国語ならなんとか...」
弱気に返した。霊夢は菫子に良く物理の話をしてもらって、数学や理科には少しだけ触れた事があるがあるのでまだ良いのだが、歴史はこっちの出来事なんて知ったこっちゃ無いという感じで、英語は紅魔館で見たきりなので、かなりまずい様だ。少し焦っている様に見える霊夢を見て菫子が察して
「まぁ、そりゃぁきついですよね。そういえば志望校は何処に?」
「雄英...」
霊夢が先よりもさらに弱く返す。そして菫子が若干引きながら、息を吸って
「超、特訓ですね♪」
菫子が無邪気な笑顔になり、そのグロテスクで狩猟の女神の様な口元は月との戦い、その時の気持ちを思い出させる程だった。その日から、菫子の学校の無い日は、つきっきりで、学校のある日は一定の課題を出されて、それを工夫しながら、こんな努力は意味あるのかと霊夢は想いながらも、一歩ずつ、しかし駆け足で合格への階段を登って行った。
「菫子との受験勉強の成果を発揮する時がきたぁっ」
霊夢が嬉しそうに小さくはしゃぐ。菫子が霊夢さんらしいと想いながら
「頑張って下さいね!!」
と励まし、受験の本番、雄英高校その近くで霊夢を見送る。霊夢が何故こんなに喜んでいると、なろう系の様に才能で生活してきた霊夢が何日も何日も努力してきたのだ、面倒くさがりの霊夢には本番ほど楽で緊張する出来事はない。雄英高校入試、全盛の軍艦島かと思うほどの人数で入り口が塞がって、転びそうになっている人などもいた。一息ついて、落ち着かせる。試験前に落ち着かなければ、試験中に落ち着くことはできない。そうしてその人混みの中、いろいろと思考する。
霊夢の心の声が響く。
まず、あんな短期間で勉強して、この高校の入試問題が、十分に出来るわけがない。つまり実技で得点を取るしかない。実技の作戦も、過去の入試や合格者から推察し、練ってきた。もし、今年の傾向が違ったとしても、対応できる様に、ある程度の幅と複雑さも考えてある。そして─────。
とっくにそこはもう試験の始まる大きな壁で囲まれた会場の前だった。私のいる位置はスタート地点より、相対的に見て後ろだったがそれはいい。説明を聞く限り、おおまかなルールはロボットを倒す。ロボットの種類ごとに得点がある。あと忘れてはいけないのが幻想郷出身者だと気づかれない。それだけだ。唐突に大きな音が響く。壁の上に誰かが立っているのが見える。試験監督だろう─ルールを説明している人とは違っていた─
「はい、スタート。」
この程度では驚かない。ヒーローは咄嗟の判断も大事だ。人混みが邪魔なので、三メートル程の高さへと浮きながら、最前列へ、その前へ前へと移動する。流石はロボット、機械なだけあって、反応速度は早い─入試用に遅められているだろうが─私はロボットのセリフが聞けないほどのスピードで、ロボットの脆そうな細長い部分を狙い弾幕ごっこで鍛えた派手な弾幕で壊す。そうすると見える限りで三体のロボットがこちらに気づいた。さっきとは形は違うし、武器も持っている。やる事は先と同じ脆そうな部分を派手な弾幕で壊す。ロボットを集める。その繰り返し。繰り返し──。そのおかげで、開始直後から一気に二十ポイントを獲得した─開始したばかりなのであまりロボットが狩られていなかったからもある─自分自身の力を制限していることを考えるとこのポイントが現時点では丁度がいい。やはり周囲を見ると、受験生が増えてきた。受験生も馬鹿ではない。入り口付近の激戦区を通過して、端へと進んでいる者も多い。頃合いかと、周囲の建物よりも高く、試験範囲がギリギリでも見渡せる高度に飛び上がり、零ポイントの巨大ロボットの位置を確認すると中心より少し入り口寄りの所に地上から見た時は見た面積が少な過ぎて分かるわけが無かったがその巨大ロボットの格納されている場所がわかった。それを確認してすぐさま下降して、零ポイントのロボットが来るタイミングを試験時間から推測し、準備に移る。飛び上がった時にロボットの確認とともに人数を数えていたので、試験範囲の比較的開けた中心部に五分の三の受験生が集まっていた事が判った。私は、戦闘は十分にしたので、一旦、人助けをする事に決めた。─ヒーローの大前提は人助けなので、何か加点があるのではという予想だ。本職がそれだからなのもあるだろう─黙々と人助けをする内に試験開始からだいぶ経っていた。様々な場所にいた怪我人は私が助けた者や他の人が助けるのを私が手伝った者は入り口付近のなるべく頑丈そうで目立つ建物に落ち着かせて避難をさせた。助けて運ぶ途中に、危険だが、ついでにその間派手な弾幕を常にではないが時々上空に放っておいた。怪我人にはそこらへんにあった建物から、布や紐を持ってきて患部の周りを固定したり、水道から水を取って、ロボットの中に入っていた電池で煮沸消毒してから、傷を洗ったり、家庭用漂白剤で患者を寝かせるロボットの大きな破片を消毒したり─水拭きはしっかりしましょう─などを行った。幸い手伝ってくれる者は少なくは無く、怪我人の救助をかなりの人数、ロボット狩りを中断してまで手伝ってくれた。頃合いかと建物が爆音を濁らせた音ような音を出して派手に崩れる。ようやく待ち望んだ零ポイントの巨大ロボットの登場だ。逃げ惑う人々が殆どで、驚き硬直している人もいた─あまりいなかったがポイントのあるロボットがくるまで時間がかかるので、空き時間で避難させておいた─入試はロボット狩りどころではない様子だ。各地、派手な弾幕を放ちロボットをなるべく集めて─それをポイント源にしようとする者は話術でなんとか人助けに向かわせた─巨大ロボットの登場という何度も目印になりやすい出来事により、そこに集まってくる。十分に集まった所で巨大ロボットを転倒させて、下敷きにする。ポイントのあるロボットの撃破には直接関与しないが間接的に撃破するので、流石に半分でもポイントはくれるだろう。巨大ロボットを観察して観察して、そうしながらこの受験費用の殆どをとられていそうな零ポイントロボットを壊す事を考える。もちろん力を出し過ぎない程度に。そしてなるべく壊れやすい所を狙いかつ、入り口側に被害がいかない様、破壊して倒す。そんな技術が求められる破壊、その為には壁に描いた、この技がピッタリだ。綿密に威力を調整する。弾幕は火力、技術、美、そして楽しむ、その四つの原則。こっちの世界に来てからの初のスペルカード。
「霊符:夢想封印!!!」
歯切れよく、ヒーローが技名を叫ぶ様に、私も叫ぶ。発生した直径が自分の身長ほどもある虹色の美しい弾幕、それを幾つも発生させて、大木を切り落とす様に狙って破壊する。複雑な機械がゴチャゴチャになる特有の音と共に数多の小さい得点のあるロボットと零ポイントの巨大なロボットが倒れ土埃が舞い上がる。この試験のヴィランポイント:98ポイントだった。
菫子の家の扉をガチャっと開ける。流石にまだいない。今のうちに、紫にでも近況報告をしておこうと、スマホを開く。そうすると数分前に紫から古臭くメールが送られてきていた。
「気を付けてね」
その一言だった。気を付けるには「注意」や「気づき」などの意味のほかに「元気の回復」という意味もある。きっと忙しい紫なりの最低限度の気遣いだろう。そして単純に私にこれは異変の影響が漏れ出た調査である事を認識させ、忘れられた者の幻想郷、それを維持する為に、発見の糸口にもされない様に立ち回れという用心を説いてくれている優しさである事を悟った。そんなメッセージをこんな時に送ってくるなら、受験の報告も要らないだろう。私は恐らくは受かっただろう受験─ヴィランポイントの数え間違えと、筆記で解答欄がずれるほどの大きなミスをしていなければ大丈夫なはず─その結果を待ちながら、菫子の帰りを待った。その数ヶ月後、私は晴れて、雄英高校の生徒となった。
客観的な文と主観的な文(主人公目線)って書き分けができない性分なので、なんとか頑張りました。あと文字数をもっと増やしてテンポを良くしたい。
霊夢が完全するとかじゃなく筆記っていう弱点(つまり不安要素。続きが気になる部分)があるのはいいんだけどもう少し盛り上がりというか感情の揺れ動くようなところがあってもいいじゃね?
すみません、次の話はこちらへ

