2月14日、机の中
2月14日。
教室の空気が、いつもよりちょっと甘い。
昼休み、俺は席に座ったまま動けずにいた。
理由は簡単。机の中に、何かが入っている気がするから。
朝からずっとだ。
イスを引くたびに、カサッて音がした気がして、心臓が一回ずつ跳ねる。
「なにビビってんの?」
そう言ってきたのは、隣の席の早川。
いつも通りの無表情で、チョコを配る女子たちを横目で見ている。
「別に」
そう答えたけど、バレバレだと思う。
去年はゼロ。
一昨年もゼロ。
今年も期待しないって決めてたのに、バレンタインというだけで希望が湧くのが腹立つ。
昼休み終了5分前。
覚悟を決めて、俺は机の中に手を入れた。
――あった。
小さな紙袋。
市販のチョコっぽいけど、リボンが雑に結ばれてる。
心臓の音がうるさい。
袋の中には、チョコと一枚のメモ。
『放課後、理科室の前で待ってます』
名前は、ない。
「……誰だよ」
小声で呟くと、隣からクスッと笑い声。
「それ、多分私」
早川だった。
「え?」
「昨日、リボン結ぶの失敗してさ。バレたか」
いつも無表情なのに、耳が赤い。
「なんで俺?」
「なんでって……。
席、隣だし。話すと楽だし。
それじゃダメ?」
一瞬、言葉が出なかった。
「……ダメじゃない」
そう言うと、早川は少しだけ笑った。
「じゃあ、よかった」
チャイムが鳴る。
今年のバレンタインは、机の中から始まった。
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トピ画像は拾い画だけど小説がメインだから大丈夫だと思ふ
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