Nの皆さんへ⑥

7 2026/03/25 21:21

No.2。

「紅剣を回収する」

低い声。

空気が、沈む。

ソラの喉が鳴る。

(まずいな)

本能が告げる。

(こいつは、今までと違う)

「どいて」

アオミが前に出た。

「私がやる」

銃を抜く。

発砲。

――弾かれる。

「無意味だ」

次の瞬間、距離が消えた。

掴まれる。

だが。

アオミはすでに動いていた。

銃で腕を叩き、後方へ跳ぶ。

間合いを取る。

No.2、二刀を抜く。

踏み込み。

速い。

だが――

さらに速く、アオミが動く。

瓦礫へ。

跳躍。

連続移動。

斬撃が追う。

建物が切り裂かれる。

破片が舞う。

肩が掠れる。

血。

(関係ない)

走る。

跳ぶ。

視線は、ただ一つ。

(隙を作る)

連撃。No.2の剣が振るわれる。

その一瞬。

(今だ)

空中で体勢を変え、銃口を向ける。

引き金――

同時に。

ソラが動いた。

剣に手をかける。

抜く。

紅い光が、夜を裂いた。

(繋いだ)

(なら――終わらせる)

踏み込む。

世界が歪む。

一閃。

爆音。

地面が裂ける。

光が弾ける。

――静寂。

煙が晴れる。

ソラは膝をついていた。

荒い呼吸。

(やった……)

顔を上げる。

止まる。

No.2は、立っていた。

損傷はある。

だが、倒れていない。

そして。

その手に。

アオミ。捕まっていた。

「……私たちは、甘かったな」

アオミの声。

ソラの思考が止まる。

(俺のせいだ)

手が震える。

No.2が剣を振り下ろす。

終わる。

そう思った、その時。

「待て」

声。

ラカール。

空間が歪む。

「これで俺様は反逆者だぜハハハハハ!」

No.13号が、No.2に体当たりした。アオミはその隙に離れる。

「あ、俺様はブレード・キングだ。よろしくな甘ちゃんたち」

ブレードがソラの方を見て言った。

「お前は機械人間だろ?」

「ラカールの野郎に少しばかり脅されてな。味方しねぇとバラされるってよ!」

だが、ブレードは無様にもNo.2の反撃を受け、殴られる。

ブレードがよろけた瞬間。

アオミがブレードを踏み台にNo.2に飛び蹴りを加えた。

「おいバカ、俺様を踏み台にするな!」

「黙れ、気が散る!」

アオミの脚がNo.2の顔をえぐった。機械の故障音がNo.2から発せられる。

ソラはとっさに動き出した。

(まだ終わってない)

踏み込む。

全力。

(今度こそ。俺が決めてみせる)

迷いなし。

跳ぶ。

ラカールもそれに合わせて、理式を発動する。

蹴りを叩き込む。

直撃。

体勢が崩れる。

地面へ。

――沈黙。

No.2は、動かなかった。

---

朝。

青空。

ブレードが笑う。

「No.2号、強いけどさ」

肩をすくめる。

「詰めが甘ぇんだよ」

ソラは座っていた。

「…俺のせいで危険な目に合わせた。浅はかだったよ」

隣に、ラカールとアオミ。

無事だった。

「何を言ってる。時間を稼いだから今の私がいる」

アオミが言った。

「封じられた剣だ。でも確かに人を助けることができる。困ったら使ってみるのもあるかもな」

ラカールがそう言った。

アオミは手帳を開く。

だが、書かない。

しばらくして。

「……感情は、必要かもしれない」

ぽつり。

ソラは笑った。

「だろ」

アオミは、小さく頷く。

今度は、迷いなく。

風が吹く。

ページがめくれる。

まだ白紙。

――だからこそ。

これから書ける。

物語は、続く。

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