Nの皆さんへ⑥
No.2。
「紅剣を回収する」
低い声。
空気が、沈む。
ソラの喉が鳴る。
(まずいな)
本能が告げる。
(こいつは、今までと違う)
「どいて」
アオミが前に出た。
「私がやる」
銃を抜く。
発砲。
――弾かれる。
「無意味だ」
次の瞬間、距離が消えた。
掴まれる。
だが。
アオミはすでに動いていた。
銃で腕を叩き、後方へ跳ぶ。
間合いを取る。
No.2、二刀を抜く。
踏み込み。
速い。
だが――
さらに速く、アオミが動く。
瓦礫へ。
跳躍。
連続移動。
斬撃が追う。
建物が切り裂かれる。
破片が舞う。
肩が掠れる。
血。
(関係ない)
走る。
跳ぶ。
視線は、ただ一つ。
(隙を作る)
連撃。No.2の剣が振るわれる。
その一瞬。
(今だ)
空中で体勢を変え、銃口を向ける。
引き金――
同時に。
ソラが動いた。
剣に手をかける。
抜く。
紅い光が、夜を裂いた。
(繋いだ)
(なら――終わらせる)
踏み込む。
世界が歪む。
一閃。
爆音。
地面が裂ける。
光が弾ける。
――静寂。
煙が晴れる。
ソラは膝をついていた。
荒い呼吸。
(やった……)
顔を上げる。
止まる。
No.2は、立っていた。
損傷はある。
だが、倒れていない。
そして。
その手に。
アオミ。捕まっていた。
「……私たちは、甘かったな」
アオミの声。
ソラの思考が止まる。
(俺のせいだ)
手が震える。
No.2が剣を振り下ろす。
終わる。
そう思った、その時。
「待て」
声。
ラカール。
空間が歪む。
「これで俺様は反逆者だぜハハハハハ!」
No.13号が、No.2に体当たりした。アオミはその隙に離れる。
「あ、俺様はブレード・キングだ。よろしくな甘ちゃんたち」
ブレードがソラの方を見て言った。
「お前は機械人間だろ?」
「ラカールの野郎に少しばかり脅されてな。味方しねぇとバラされるってよ!」
だが、ブレードは無様にもNo.2の反撃を受け、殴られる。
ブレードがよろけた瞬間。
アオミがブレードを踏み台にNo.2に飛び蹴りを加えた。
「おいバカ、俺様を踏み台にするな!」
「黙れ、気が散る!」
アオミの脚がNo.2の顔をえぐった。機械の故障音がNo.2から発せられる。
ソラはとっさに動き出した。
(まだ終わってない)
踏み込む。
全力。
(今度こそ。俺が決めてみせる)
迷いなし。
跳ぶ。
ラカールもそれに合わせて、理式を発動する。
蹴りを叩き込む。
直撃。
体勢が崩れる。
地面へ。
――沈黙。
No.2は、動かなかった。
---
朝。
青空。
ブレードが笑う。
「No.2号、強いけどさ」
肩をすくめる。
「詰めが甘ぇんだよ」
ソラは座っていた。
「…俺のせいで危険な目に合わせた。浅はかだったよ」
隣に、ラカールとアオミ。
無事だった。
「何を言ってる。時間を稼いだから今の私がいる」
アオミが言った。
「封じられた剣だ。でも確かに人を助けることができる。困ったら使ってみるのもあるかもな」
ラカールがそう言った。
アオミは手帳を開く。
だが、書かない。
しばらくして。
「……感情は、必要かもしれない」
ぽつり。
ソラは笑った。
「だろ」
アオミは、小さく頷く。
今度は、迷いなく。
風が吹く。
ページがめくれる。
まだ白紙。
――だからこそ。
これから書ける。
物語は、続く。
このトピックは、名前 @IDを設定してる人のみコメントできます → 設定する(かんたんです)

