ヒーローと巫女さん 第九話:同盟同士のマトモな会話
博麗霊夢は目を見張る。いつからかはわからない。爆豪のジャージの袖が赤色になっていた。轟も霊夢触れていなかったし、響香にも指示を出していたので、そうなる。
「消去法でやったのは八百万のチームか」
「問題が?」
「いや、勝利は着々と私達に近づいているわ、最初からね」
二つのチームの脱落により、残るチームは、八百万チーム、博麗チーム、緑谷チームとなった。だが、その事実は当の本人達にはわからない。なぜならば、誰かが捕獲されたというアナウンスもなければ、脱落した時の捕獲状態の永続による袖の光が、単にタッチされ、捕獲によって光ったかの区別がつかないからである。なのに、その轟チームが脱落した瞬間、八百万は口を開く
「轟さん達が、脱落しましたか・・・・・・」
八百万の目の前には、鳥籠に入った烏が1匹。そんなことを推論する八百万のいる周りには一つの道路があってその脇に建物が密集している。道路を挟んだ真正面から右に二つつずれた薄暗いビルの中から覗き見ていたのは緑谷チームだ。監視を続けながら、緑谷は博麗チームとの同盟を含めたチーム全員で、八百万チームをどう脱落させるか思案していた。
「なぜカーテンを開けたままに? 油断していると思わせての裏をかく? いやブツブツブツブツブツ
「相手は4人やから、霊夢ちゃんのチームと合わせて数的有利はとれるけど、いかんせん個性が万能やしなぁ・・・・・・」
要約したら、そんな会話をしている緑谷チームに後方から
「ごめんなさいね、麗日、こんな男ばっかのところに探求のために配置させて」
「大丈夫だよ! って!! いつのまに?!」
「霊夢〜、やっぱ走るの速いって」
霊夢チームが到着した。
「ついさっきからよ、けっこー上手くいったわ、私達が両方とも個性を使わないことを隠して油断させるやつ、爆豪と轟が戦闘していたから。轟は私がタッチしたけど、爆豪は八百万チームがタッチして捕獲したわ。これでどっちも脱落ね」
響香は疑問と、うまくいって良かったという安堵の表情を示す。
「ねぇ、なんでそんなことが分かるの?」
その質問は虚しく無視され、まるで、時間がないかのように
「それより結果は?」
「・・・・・・ああ、言われた通り、監視と観察をしっかりとしていた。そしてこれら二つのことは緑谷と麗日と相談して考えたことだ。
まず一つ目だ、ビルとその前の道路の歩道には、切り傷、融解痕、そして何かを無理やり剥がしたような痕と黒焦げになった街路樹の葉っぱ。そこから、爆豪チームの切島鋭児郎、峰田実、上鳴電気との戦闘があったことは明白だ」
「見た?」
「いや、見ていない。つまり戦闘は遅くとも、自分達が監視を始めた開始8分までには終わっていたということだ。だからその四人は逃亡か、監禁の二択である可能性が高い」
「二つ目、あっちは轟チームを味方につけている。理由はさっき、口田の個性でのやりとりと、人数的に轟と八百万が組む方が勝てる可能性が高くなるからだ」
「ええ!?」
響香だけ、驚いたような表情を見せる。が、まだ気付いてなさそうなので霊夢は追加の理由を説明してあげる。
「まだ足りないわね。主な理由は四つ。一つ目は、さっき言ってくれたようにどちらもこのゲームにおいてトップの実力を持つチーム同士であることは人数差、個性の強さからでも克明なこと。二つ目は轟は一度このビルの方を見ていたこと。三つ目どちらのチームも情報を受信、送信できるような個性がいること。四つ目は轟と八百万はどちらも推薦入学者で共通点を持っている。どう考えても組まない方がおかしいのよ。ちなみに轟を確保した時、誰も触ってない爆豪が捕獲されてたけど、あれは多分、葉隠ね」
「「・・・・・・なるほど」」
緑谷チームにとっては霊夢の言った三つ目と四つ目は推測できた理由なので、すこし感心する。すこしの間があった後。
「ヤバく無い?だってそれじゃあ実質、12対5で戦おうとしてたってこと・・・・・・?」
「大丈夫よ、恐るるに足らないわそんな差、爆豪だって5倍の人数差で、奇策がなければ勝ってたんだから、それに12のうち8以上は情報担当、轟チームでしょ、なんならもう脱落したし、楽勝よ楽勝。そうでしょ?緑谷?」
「ええっっ!!」
思考の沼から、そそくさと意識を戻し、会話の沼に片足を突っ込む。
「確かに、人数差に関しては多分大丈夫、こっちの方が有利だと言い切っていい、いやまぁ多分だけど。問題は、個性が常時発動している人達が多いせいで、個性を使わないと宣言してもある程度は使えてしまうこと。だからそれに対抗しうる策をいま練ってる」
「ああ、そう、じゃあ頑張って」
「「「はぁ!?」」」
あまり会話に参加できないので、二人で監視を続けていた麗日と響香も反応する。そんなことは無視して、霊夢は四階建てのビルの三階の八百万がいる方とは90度、右に角度がずれた窓から、ジャージをはためかせながら1人で飛んで、静かに五点着地。そして大きく周りながら道路を渡る。
もちろん、この出来事は1分半程度、かかっているので、霊夢が何をしているのかを考える時間はあった。意外にも、推論を一番最初に述べたのは麗日だった。
「霊夢ちゃんは峰田くんを探しにいったんじゃないかなかろうか?
だって峰田くんはその、会ってから全然時間たって無いけど、ほの〜そら、あれやし。傍に置かないんちゃうかな。多分同じ建物に置くのも憚られるし、絶対叫ぶだろうから別の建物に」
他の三人は峰田のことを思い返しながらその推論を吟味する。
(やはりそうとしか思えなくなってきた・・・・・・!!)
追加で、響香も付け加える。
「あいつなら、叫ぶのを防ぐために口を塞がれても喜んでそうだわ。雰囲気的に上鳴くんも一緒にいそう。切島くんは八百万さんのチームと一緒のビルに監禁されてても違和感はないかなイメージ的に」
「俺も、根拠は弱いがその可能性を支持しよう。なんとなくそんな気もする」
「一般論と霊夢より、女の勘は当たるらしいしね」
サムズアップしながら、笑顔でそう言い切る響香で、一旦その話は途切れた。場を 見計らったかのように緑谷が話題を戻す。
「・・・・・・それも要素にしてあのチームを落とす戦略を考えよう。みんなで、僕なんかが協力しても意味があるかはわからないし けど」
着々と霊夢抜き作戦会議は進んでいったのであった。

