ヒーローと巫女さん 第八話:うらがなし、うらがあり

7 2026/05/23 12:45

「スタート」

霊夢はまだ、響香に話を終えていないので、焦りながらも会話する。目的の時間まで、間に合うように。

──────────────────────────────

「んじゃ、俺は行ってくる」

ゲームが開始されてすぐ、爆発音とともに爆豪が動く。

爆豪は、相澤が与えたチーム決めの5分と開始までの1分で、自身のチームにおおまかな作戦を伝えた後、個人戦と言わんばかりに単独行動を始めた。

そして「スタート」の宣言と同時に轟のチームの一端を、会場の中央を通る大きい道路、その傍に建築された多くの建物が立ち並ぶ、広い場所で見つけた。爆豪が1番見つけたいのは私怨的にデク、次に霊夢だが、轟はエンデヴァーの息子とだけあって、爆豪にはどうも無視できない相手だった。見つけたのは轟チーム8人中の5人、尾白、口田、常闇、青山、砂糖つまり轟と瀬呂、障子以外だ。すると爆豪は自身の個性で、空を爆発の反動で飛びながら、突撃した。

「「いきなり速攻!!??」」

その5人は爆発音のおかげもあって、すぐに気づき、建物同士の隙間に急いで素早く逃げる。

「チッ、面倒くせぇ」

そう呟きながら追いかける。空を飛べるというだけで、相手に有利はとりやすいし、会って間もない生徒たちのチームなのだから、統率もまともに取れず、簡単に一網打尽にできるだろうという推測もあるが、腐っても雄英生徒、油断はできない。

爆豪は1対5の人数差で、狭い隙間で迎え撃つだろうと、回避も反撃もしやすい高さ3メートルの高度を維持して隙間に入る。予想通り、体格の大きい尾白が建物の隙間で待ち構えていた。だが、爆豪には無意味で、上方向に急加速し、そのタッチをひらりと避けられる。

「バカか? 人数差活かすんなら、狭い所より、広い所だろ?」

煽りながら、下方向に加速して、爆豪は尾白にタッチしようとするが、尾白も馬鹿じゃ無い。失敗することも見越して若干引き気味でタッチしようとしたので、尾白は爆豪の攻撃をギリッギリ避けれた。先の上下の爆破で、丁度それぞれの慣性は打ち消し合い、爆豪は高度を保ちながら、より建物の奥へと、隙間を抜ける。まもなく爆豪は、建物の密集した中で、不自然に小さな公園程度の広さを持つ大きさの空間に出た。マンホールやゴミ袋、ゴミ箱もあってなんだかネズミもいそうだ。汚い。そして、建物の隙間を埋める形で、他の4人は待っていた。

「尾白は、捕獲されては無い様だな。」

と常闇。返事もせず、表情も変えず、爆豪は思考する。

( ルール的に捕獲するには手で触れることが則。俺の個性なら、今すぐにでも捕まえられっが、自己紹介の時の個性的に、こんな薄暗い所だ、常闇は使える側の可能性は... いやねぇ。相性が俺と最悪だ、他の奴も大方、自明だな。全員まとめて、◯せると思ったが、ちいと人数差が気になるぜ)

実際、人数差というのは実力に最も多く影響すると言っても過言では無い。集団戦の戦力は、武器が同じであり、近距離であるならば、兵士の人数に、遠距離ならば兵士の人数の2乗に、それぞれ等しいと言われている。個性というピストルと、個性が使えないという素手では、武器に差があり過ぎると言っても良いものの、人数的にも押し負ける可能性がある。

だからと言って爆豪はチキっているのでは無い。

(相手はこの連携だ、必ず作戦を立ててきていやがる。だったら、それに乗ってやって、実力でねじ伏せる。それ以外に、力を見せつける方法はねぇ!!)

入学早々の格付けと行こうかと、さらに意気込んで、わざわざ敵の中心、薄暗く汚い広場の中心に器用に慣性を逆向きの爆破で消して着地する。が、それはフェイント、後ろ、つまりは、爆豪が通ってきた所から爆豪を追いかけてくる尾白に、急ターンし、爆豪は瞬時に迫る。

「チッ...! 防御ばっかしてんじゃねぇよ」

尾白に最も近い、青山と口田の2人が助けに来る。挟み撃ちの状態。2人だと両手で触れればなんとかなるが、3人だとそれが難しい。爆豪は返り討ちにされると予想して、トンボ返り。すぐに薄暗く小汚い、狭い空間の中央へと帰還する。改めて見ても、横方向にはめっぽう強い陣形だ。

(上方向に行ってくれって言ってんのか?この陣形は?)

そう爆豪が考えていると、思考妨害か、単なる攻撃か、青山が近くに落ちていたゴミ袋のようなものを私的エレガントなポーズで投げつけ、それとともに、その隣の体格の大きい2人、尾白と佐藤が青山と共に爆豪をタッチしにくる。当然、その役目は小さい体格のものが望ましいのだが。爆豪はゴミ袋を爆破しない様に、爆破で加速させた手で掌底し、ゴミを送り返すが、2人は怯まない。爆豪と3人の距離が、あと2m程となった距離で唐突に爆豪は前に素早く加速できるように前傾になり、再び"後ろ"へと急加速し、手を伸ばす。

「・・・完全に死角なはず!」

「逃す気はねぇぜ?! 常闇ィ こっちからは建物の窓にギリ映って、見えんだよ。」

パァァァン────。常闇が居たそこは、爆音に包まれた。慣性によってタッチの威力は格別に高い。常闇の裾が赤く光り、ゲーム開始から、最初の"捕獲"となった。人数が減り、まぁまぁやりやすくなった爆豪だが、考えるのをやめない。

(これも算段のうちなのか? でも人数が減ったのはでけぇ。とりあえず、こいつをあいつら4人に手で触れられない所に置かねぇと。捕まえた意味がねぇ)

常闇の捕獲の後、1番良いのは建物の中だと瞬時に判断して、建物の三階にガラスを片手の汗を投げつけるようにして爆散させ、爆破で加速した逆の手で、常闇を放り投げる。その間にも、4人への観察はやめない。

常闇がいなくなった、残りの青山、尾白、口田、佐藤は慎重になったのか、爆豪からそれぞれさらに離れて、場面が硬直し、静寂が支配する。ポケットの中に手を入れ温めて、あちらからの攻撃を誘いながら、爆豪は考える。

(やっぱり、上方向の移動は咎めようとするそぶりは見せるものの、明らかにやる気と対応が違う。ブラフなのか建物の上に何かあるのかどっちだ?)

爆豪はその末に結論に辿り着く、分からないなら相手に聞けばいいと。

「なぁ、轟のやつは何処だ?」

今の所、何もしていない口田に向けて、戦闘中ながらも質問する。

「・・・知らない。」

その様子を爆豪は、他3人と共に観察し、追加で質問する。

「周りからの反応的に、ってか、作戦くらいチームの半分以上に伝えねぇわけがねぇ、轟がいるのは上か?」

「知らないし、違うよ!」

「知ってなきゃ違うって言えねぇよ」

そう言いながらも爆豪は口田を中心に周りをより敏感に、繊細に観察する───────────────────────────────────────────────────

「てめぇ、俺に向かって、嘘つくとかいい度胸してんなぁ?!あぁ!?」

爆豪は観察した末に導き出した。口田は、体が個性に伴い、異形のため、感情が読みにくい。だが他3人の感情は、爆豪の先の質問に対して、尾白は吐く息の音が大きくなり、砂糖はほんの少し口角が上がった。そして、青山は目尻の少し深くなった。それは幸福つまり安堵の表情だ。

「だから、考えうる轟の位置は────地下だ。塵芥(と書いて博麗霊夢)がこの試験に合格した話をした時に水を使ったって言ってたろ? 勉強もあまり出来ねぇ、戦闘も、あの紹介内容からあまり強くねぇと見た。だったら大量の怪我人の手当をする他ねぇ。そんなら、傷口を洗う水。冷却の水。自分を清潔に保っておく水。怪我の応急処置の基本は大量の水で洗うことなんだから、水の総量は半端ないことになる。もちろん、複数、水を操る個性持ちはいただろうが、だとしてもそれを賄える程の個性持ちなら、雄英に合格してるはずだしなぁ。だから、確認はしてねぇが、マンホールの下の空間には、人が通れるようなスペースはあるはずだぜ。そこに潜んで奇襲。それが正解だろ?」

口角が下がり気味、不快な感情の現れ、つまり────ドンピシャ。こな場は完全に爆豪が支配していた。爆豪が自身の丁度、真下に誘導されていたのか設置されているマンホールを強弱をつけて開かない様、地面と溶接させる。勿論その隙に攻撃されても問題ないよう片手でそれを行いもう片方の手は相手に向けている。

「轟の作戦は俺が地面間近にいないと成立しない。だから上にだけ警戒を緩めて逆に俺に不信感を抱かせて、行かせない様にした。だから、今、自由に上に飛んでも問題ねぇって事だ。」

お分かりだろうが、ビルより下までの高さで戦っていた爆豪が、そのさらに上から、上方からの攻撃を気にする事なく、相手の手に届かないところからタッチはできないが、気絶させる様な攻撃を一方的にすることができる。轟チームに対する余命宣告。もう尾白、口田、青山、砂糖の4人は全員捕獲を確信して動くことを躊躇った。蹂躙するべく爆豪は上方向に、体に負荷が掛からないよう、なるべく遅くだが速く移動しようとする。

だが、爆豪がビルの高さを超えた時、爆豪の体はテープによって、縛られ、手と足を氷に覆われた。そしてテープを器用に動かし、ビルの屋上へと叩きつけられる。ビルの屋上には尾白、口田、常闇、青山、砂糖以外の轟のチーム。そう、轟、瀬呂、障子が待ち構えていた。

「!!!!!(なんでおめぇがここにいる!!)」

爆豪の言葉はテープが猿轡となっているので聞き取れない。

空中にいながらもそうなっている爆豪を、瀬呂がテープをまき移動させ、障子がジャージに触れないように、バサっと受け止める。

「瀬呂、障子、下に行って正しい作戦を共有。拠点に引率しといてくれ」

そう。個性を使わせないことに決めた尾白、口田、常闇、青山、砂糖 には、爆豪の近くにゲーム開始時にいることで戦闘を誘発し、油断したところをマンホールから飛び出し爆豪を捕獲させると伝えておいたのだ。その説明と本当な作戦のために2人は頷き常闇を回収しながら下に行く、轟は爆豪が暴れたため漁夫の利をしに来るチームがいるかもしれないという判断で残ることにした。

1分が過ぎた所、轟は

(爆豪をチームメイトとの協力の材料にしようかとおもったが、動きがなさすぎる。そろそろ脱落させるか)

そう思った矢先、ブン!と空を切り、何かが投げられる音がする。咄嗟に手を止めて轟はその方向をみると、投げられたのは布を丸めたボール状の物。轟はそれが何か推測する

(布、爆豪、汗、爆発... 爆豪の個性の爆発する汗を布に、しみこませ、チームメイトに持たせたのか!)

轟は爆豪の汗の性質はよくわからないが、直撃すれば、おそらく気絶以上は確定の状況。轟は

「残念だが、"予測済みだ"」

氷壁を、"爆発で壊されても被害が出ないように"少しだけ空間を開けるように何重にもして、壊されても破片が飛び散らないようにする。だが───

「爆発しない...?」

────────────────────

時はゲームスタートした直後に巻き戻る。霊夢は響香に計画を話した後、屋上に入るためのガラス張りの扉、そこから試験会場を眺め、他チームを監視していた。

「・・・・なるほど。戦略がたったわ」

ボソッと呟き、すぐ近くの階段から、下の階へ降りる。

「霊夢。足音もなにも聞こえなかったから、少なくともこの建物には誰も来てないよ」

屋上から一つ降りた階層で待っていた響香が、降りてきた霊夢に対して報告した。

「ありがとう、響香。万一まけてなかったら、計画に支障をきたすかもしれないし」

「そんなことないって。で、これからどうするの?」

「同盟よ」

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霊夢がいないと同義な詐欺回


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