ヒーローと巫女さん 第十二話:巫女はいつもみんなの為に、ヒーローもいつもみんなの為に。その3
全員が集まった。色々な表情の者がいた。不安、安堵、自信、心配などなど。だが、相澤は全員揃ったことを確認して直ぐに始める。
「皆、ご苦労だった。
疲れているかもしれないが、成績が最下位となった除籍処分者を発表する。
除籍処分者は────────
「相澤先生。ちょっと待って下さい」
「どうした博麗。手短に済ませたいのだが」
霊夢に注目が集まる。
「先生。この検査を始める前に私と爆豪の喧嘩を仲裁したのは覚えて?」
「ああ、そうだったな」
「その時、"お前ら喧嘩なら他所でやってくれ、面倒だ"って言いましたよね。ここなら、ステージもあるし、学校ではないし、破壊しても問題はない場所。
だから、喧嘩させて下さい」
「だめだ。面倒であることに変わりはない」
段々とあたりに不穏な空気が立ち込め、爆豪も話に参加しようとした。
「俺も、この隠居漁夫の利とはなぁ、こいつが日和ったのかあの試験中には戦えてねぇんだ。しっかも散々コケにされたからなぁ!喧嘩はしたくてしょうがねぇんだなぁ!!」
「もし、出来ないのであれば」
霊夢はそう言いながら、自分の後方に数十の弾幕と、掌に一つの弾幕を出現させる。
「武力行使? 無断実行? 私はそうすることだって厭わないしなぁ」
やはりギスギスしてきた空気に、相澤がまた、同じように対処しようとした。
「お前ら、いい加減に────────────」
「相澤先生だって怒ってるよ!! 霊夢!」
「響香・・・・・・」
「爆豪、これは自分と霊夢の問題ってわけじゃねぇんだぜ。もうクラスメイト同士の問題、つまり、クラスの問題だ。俺からも頼む。今回は見逃してやってくれ。」
「切島・・・・・・チッ」
その後もクラス全員がその二人を止めに来る。そして
「「しょーがねぇから、やめにするよ喧嘩」」
そうして霊夢は弾幕を消し、爆豪の音声も止み、騒動は治った。そして再び霊夢が発言する。
「で、もう一つの本題に入りましょう。相澤先生。見逃しましたか?ルール違反」
「・・・・・・それは本当なのか?」
「ええ、なんなら告発してもらいましょうか、上鳴と峰田に。」
一気に二人に注目が走る。上鳴が霊夢に向かって発言する。
「なぁ、霊夢さん。本当に言っても良いのか・・・・・・?」
「ええ、もちろん。だって私は"自分に素直になって、ルールを破って敗北にならなければ"除籍されないって言ったじゃない」
「・・・・・・あの時、俺と峰田を縛り付けられた縄を切った時。俺はどうやって切ったかは、その音と切り口で何か刃物で切ったのかと思ったんだが、霊夢さんはそんな刃物なんて持ってないように見えたし、なにより。
縄を切った時に聞こえた、縄からするはずがない音と、さっき喧嘩を止めにした時、弾幕を消した時の音が同じだったんだ」
霊夢から上鳴にただひたすらに拍手が送られた。
「さっすが、 上鳴、やっぱり音楽やってる人は耳が良いのね。そのとうりよ」
「俺が見た、霊夢様がビルから飛び降りる時にジャージがはためいていなかったのもそのせい?」
「うん、峰田は女子への観察眼なら異次元なのよね」
皆が、何故そんなことを?と疑問を抱き思考している中で相澤は気付く。
「まさか、俺の性格に付け込もうとしているのか?」
「そう、私が成績最下位になっても、相澤先生ならこんなにも優秀な私を除籍して無駄にするはず無いってね。"試験"は終わったけど"検査"はまだ終わっていない。これでもまだ、最下位に届かないなら、私の"裏切り行為"についても話した方が?」
「本当に、何処まで?」
相澤のその言葉は純粋に先生として、ヒーローとしてではなく。一人の人間としてその疑問を無意識に投げかけていた。
「そんな、何処までもとしか答えようのない質問に詳しく回答している時間があったら、もう裏切りについて話ちゃうわ、普通に私が話したいのもあるけど。私は試験終了10分前に───────────────────────
霊夢はビルで囲まれた行き止まりにつき当たっていた。
「あれぇ、行き止まりだな。私の勘でも鈍ったかしら」
白々しい言い方で、そう言い。行き止まりの壁に触れる。そして
「尾行するなら、もう少し技術を磨いた方が良いわ、姿は見えないけど音で丸わかりね」
そう言い振り返った。それを利用しポケットに入っていた、麗日から貰った小石─麗日の個性によって通信機器となっている小石─を、尾行している人、葉隠がいるである方へ投げる。
「ううわっ!!」
どすん、と尻餅をつく音が聞こえる。
「安心しなさい葉隠、人間の乙女の顔なんて傷つけるつもりは今はないから外してある」
いつのまにか葉隠の隣に来ていた霊夢はそう言って、続ける。
「ちょっと、耳貸して、小声で言うから」
「へ?へ?へぇ?」
何が起こっているか判らず混乱して固まっている葉隠の耳に囁く。
「個性使用、5人、麗日のみ」
「もう、制限時間はあんまないし、もう争いたくないから捕獲は止めにしておくわ」
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と言うことをして、暗に、てかほぼ直で、私達の同盟の情報を教えた。ああ、今更だけど、相澤先生が何処かから盗聴しているのは、計画とか戦略とかも評価点だろうから、聴覚情報は必須ってことから読んでいたわ。
で、これだけ不正行為しまくれば、さすがに最上位を目指して得点稼ぎしてきた私でも最下位でしょう相澤先生?」
「・・・・・・もう、博麗の案にのってやる。反抗する方が面倒だしな。では改めて言おう
今回の最下位は博麗霊夢。
除籍は、お前らを奮い立たせるための嘘だ!!」
生徒からは非難轟々、罵詈雑言、阿鼻叫喚、安心安全などいろいろな反応が見られた。だが、そんなことは、除籍について話した時と同じように
「そういう"優しい嘘がつける、それもヒーロー"ってもんさ」
「「「優しくねぇだろ!!!」」」
霊夢や八百万もその総ツッコミに参加しつつ。楽しそうに相澤からの宣言で今度はしっかりと検査を終えた。

