小説の続き
第二章
割れた窓ガラス、施錠が壊れて開けっ放しになっている古めかしい扉、館を包み込む蔦。まるで中世のヨーロッパの豪邸の雰囲気を持つ大きな館は「楽園の館」なんて名前に似つかわしくない姿を晒していた。
「おおースゲ~。」
「かっけ~。」
「すげ~な山川!」
「だろっ!すげーだろ!これが『楽園の館』だ。」
確かに、立派な館だ。
「どうだ。駿斗!。」
唐突に山川が、八重歯をのぞかせてこちらに
振り向き質問を投げかけてくる。
「えっ・・あっ・うん・すごいね。」
いきなりの質問に上手く言葉が返せなかった。
「でも、『楽園の館』って名前とイメージが結びつかないよね。」
「確かに~。」
確かにそれは僕も引っかかった違和感だ。
「楽園の館って名前、山川がつけたのか?センスね~な。」
「心外だ。この名前を付けたのは俺じゃない」
「じゃあ誰が付けたの?」と声に出して聞いてみたが、
「あ~それは・・む」
「見てみて~すご~い」山川の言葉を遮るように、先のほうを歩いてたグループが声を発した。
「中に入れる~。わっ中すごい!豪華~。」
「本当だ~すごいー。」
「む」の後、山川はなんて言おうとしたのだろうか。『楽園の館』と呼ばれる理由をその時の僕は知る由もなかった。
館の中に入ると、シャンデリアが廊下の天井を埋めていた。結構昔の物だというのに物がいいからか新品同様だ。シャンデリアだけじゃない他の物もそうだ。応接間のソファー、飾られた絵どれもほこり一つついていない。無残な姿をした外面、ほこり一つ付いていない家具この二つから何が導き出されるのだろうか・・・。
「駿斗?駿斗?お~い駿斗!」
考え込んでいると、視界に何かがちらついた。「っはっ!」
「どうした?大丈夫か駿斗?ぼうーっとして」
「あっうん。ちょっと考えてて。」
山川かと思ったら、彰だった。
「お~い遅いぞそこの二人」
気付くと、後ろには誰もいなくみんなはもっと先の方を歩いていた。
今まで下を向いて歩いていたからか、廊下がさっきとは雰囲気が変わった気がする。
どうやらこの館には廊下にも仕掛けがあるらしい。十メートルごとに物や壁紙が変わっている。最初は冬の間で今は秋の間というところか。冬、秋、夏、春、水、地、火、風などいろいろ間があるらしい。
「地下室とかねぇ~の!山川」
「地下室、行ってみて~山川行けんのか?」
「地下室あるかどうかは分かんねーけど、せっかくだしみんなで探検してみねーか?」
「おっ!それいいな!ナイス名案だな!山川」「こわそーだけど私も行ってみたい!」
確かに一人で行くのは、気が引けるけどみんなで行くんだったら地下室・・行ってみたいきもする。
「駿斗も行くよな!地・下・室」
「うん。行ってみたい!」
「駿斗・・珍しく乗り気だな‼」
僕が乗り気なのはそんなに珍しいのかと自分で思うほど、山川の驚きようは凄まじかった。
「さっ地下室探索へレッツゴー!」
第三章
あの時の地下室・・いや地下道は思ったよりもは薄気味悪く、空気はどんよりとして気持ち悪かった。
今思えば、小学生だけで廃墟の地下室に入るなんて危険だろう。
だけど、あの時はそこまで気にしてなかったし、まだ時代も人々もそれを許してくれていた。
きっとそれを許さなくなったのはこの時からだろう。
「うわっ!スゲー床がギシギシなってる。」
懐中電灯の頼りない光一つで、足元を照らして歩いていく。
「見ろよ!何か部屋みたいのがあるぞ。入ってみないか?」
地下室と思っていた場所は地下道になっていてさらにその中には部屋がある・・か。そしてその部屋も普通じゃなさそうな雰囲気で…。
どうなっているのだろう・・か・・この館は。
思ったよりも軽い扉はすぐに開いた。たかが一つの部屋を開くだけの扉なのに、周りの雰囲気とはあきらさまに浮きだっていた。
紅色で染められた板の上に刻み込まれた彼岸花の彫刻はまるで何かの象徴を表しているようだ。
部屋の中には、机・・以外には何もなかった。
「わっ何もねー部屋」
「引き出しが開くみたい」
「せーので引き出し開けようぜ!」
「せーのっ!」
「・・・・・」
3つの引き出しがある中で1つめは、空。2つめも、空。3つめの引き出しに入ってたのは、、、手帳一冊だけだった。
「せっかくの隠し部屋だったのに見つかったのは、手帳一冊だけか~」
「そうかな?もしかしたらその手帳に何か書いてあるかもしれないよ」
「何かってなんだよ」
「例えば、何だろ・・・この館で起こった事件とか何かの計画書かもしれないじゃん!」
普通の場所でそういう事を言われたら冗談だと笑えるが、得体のしれない館でいかにも何かありげな手帳を持たれてそんなこと言われたら流石に笑えないし、手帳の中身がそんなことであってほしくない。
「まあ、とりあえず見てみようよ」
「そうだな」
1ページ目を開く、数日ごとに日記が綴られていた。
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6月28日(水)
●●の造った館に、住ませてもらうことになった!館の名前は「紺碧の館」。かっこいい!
7月 3日(月)
住み始めて4日が経った。相変わらずこの広い館に迷う。
7月30日(日)
毎日が楽し過ぎる!今がきっと人生で最大の幸せな瞬間。この前●●と園庭に植えた薔薇のつぼみが少し開いた。色は私の好きな紅色だ。やった!
8月16日(火)
薔薇が完全に咲いた。でも、薔薇は朽ちていく瞬間が美しい。
9月 4日(金)
●●が・・・死ん・・だ・・・・・・・。
交通事故だった。車と歩行者のよくあるパターン。即死。
9月11日(金)
人間はこうも呆気なく死ぬのか・・。そもそも私は●●を人間だと思っていなかった。
じゃあなんて思ってたのか。神だと思っていた。
でも●●は死んだ。●●が神じゃなくて人間だということはその死が表している。
神じゃないから死んだ。
いやそんなはずはない。・・きっと・・・まだどこかで生きているはずだ。私にとっては、人間じゃない神だから。
9月12日(土)
私が必ずこの手でこの館を本来の姿に戻して見せる。それまでは、この館を捨てよう。
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計画表
目的 「紺碧の館」を本来の姿に戻すこと。
日時 20・・・・・・・・・・・・・・。
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「もう見るのやめよーぜ」
[そうだな・・]
「この手帳は駿斗に預けとかない?」
「なん・・で・・・・僕。」
「うん駿斗が良いと思う。安心して任せられるし。」
「まぁ、とりあえず持っとけよ」
山川までがその意見に賛成するのか・・・。
「わか・・った。とりあえず持っとく。」
断るのもあれだしと、思って預かっていたのがいけなかった。
「あの・・さっきからずっと思ってたんだけど、19人で来たのに今この部屋には18人しかいない・・。」
「16、17、18・・本当だ。」
「どっか別の部屋にいるんじゃない?」
「探してみようよ。」
「三人ぐらいのグループに分かれて探そう。」
それぞれグループごとに分かれて探し始める。
「くっそ。なんでいないんだよ」
彰と山川と同じグループになった。山川は責任を感じてなのか少し焦っているように見える。
「いた!いたぞー」
「少し奥の部屋で寝てた!」
はぁ見つかってよかった。
山川や彰もほっとしたように息をつく。山川は笑顔を浮かべていた。
「起きろ、起きろ」
「おっ駿斗!いいところに来た。こいつが全然起きねーんだよ。起こすの手伝ってくれない?」
「いいけど・・・。」
寝顔は、いい夢でも見ているのか幸せそうな顔だった。
「お~い。大丈夫?起きて。」
起きそうにないので体に触れる・・・・・。
「ねぇこれっ「きゃああーーー」悲鳴が聞こえた。廊下だ。
「死んでる。誰かが死ん・・・でる。」
「そんな、何で・・・・・・。」
「さっきのソファーで寝てたこも体が冷たかった。」ようやく口を開いた。
「嘘・・・。」
「体には二人とも泥がついていた、、。だから、館の外で何者かに殺されたんだ。」
これがたった一冊の手帳を巡っておきた連続殺人事件の始まりだった。
続く。
いや、小説家だよ!w
やばい!面白い!小説は今まで恋愛ものしか興味なかったけど、これめっちゃ好きだわw
>>2
素直にめちゃ嬉しいw
憧れの小説家に近づきたいw
わかるw私も恋愛系にハマって、ミステリ系にハマったw
ありがと・゜・(つД`)・゜・