恋はお菓子の味《第二話》【小説】

2 2022/06/29 15:50

「そんなことよりぃ...」

この後七海から重大な事を聞くとは思いもしなかった。

「えっ!何~?教えて教えて!!」

七海がにたりと顔を緩ませる。右手の人差し指を唇にくっ付け『ククク...』と意地悪な魔女のような甲高い声で笑った。

「あのね…あたし…聞いちゃったのう。実はな…空泉…っているけい?」

空泉海斗。このクラスの美男美女ランキングで美男部門にて第一位に輝いた青年。頭脳明晰で運動神経抜群。お金持ちで優しい”あの”美男である。他のクラスでは空泉のファンクラブがあるらしい。あぁ…そんな人の話を持ち出すなんて…凄いねぇ…。

「えぇっと…。それで…?」

私は戸惑った。七海は一体何が言いたいのか。

「あのねあのね!!探り入れた情報によると空泉ってあんたのことが好きじゃ…って、美男美女ランキングで一位に輝いた美女を好きになるのも納得せるで…」

えっ…困るんですけど。私時宮委員長っていう好きな人が居るんですけどー。年上だけどー。だって委員長ってカッコいいし…(以下略)そういやそんなランキングで一位取ってましたねぇ。

「うーん...。クラスの女子に睨まれそー…。」

多少の恐怖を持つ。

「そんじゃーね!」

手のひらをぴらぴらと振り、にかっ!!とこれまたいい笑顔でその場を立ち去った。私はぽかーんと口を開けて呆気にとられたまま、鉛筆を手に持ちメモとメモを見比べて新聞を書き続けた。新聞を長らく書いていると後ろから影が現れた。

「あの…星宮。ちょっと良い?」

噂の空泉。手を招き猫のようにしてこちらへと招いた。スッとした整った顔とピンと伸びている背筋は女子たちをウットリとさせる鍵の一つであろうか。さて…行こうか行かないか…まぁ行ってやるか。上から目線だが。椅子をギーと引くとスッと立ち上がり、冷淡な顔になる。

「何か用?」

短い文で時間節約。とっとと要件を済まして早ーく時宮委員長に会いに行くのだー。そんなことで脳内を埋め尽くしてしまう私。しかし相手は至って真剣な表情で私を見つめてくる。私の耳元に口を持ってきて口を開いた。

「好きだ。付き合ってくれ、」

えぇっと…え?七海の言ってたことマジなの?好きじゃなあいけどうーん?顔を赤らめもじもじとする空泉を見つめてどうしようものかと一つ溜息をついた。私じゃなくてあんたのことが好きな他の女子に言ってやれば喜ぶのに。それに付き合う…?前代未聞だね。

「ごめんね。」

私はそう重い一言を吐いて、再び椅子に座り新聞を書いた。あーくだらない。告白する時間があるなら勉強でもすればいいのに。天才肌だから勉強しなくても良いのか。そーかそーかそりゃ良かったね。顔を上げると彼は泣いていた。

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タグ: お菓子 二話 小説

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