恋はお菓子の味《第三話》【小説】
顔を上げると彼は泣いていた。
「えっ!嘘。本気で言ってるの?」
表情をびくとも変えず、ただただ無感情の並べただけの言葉を喋る。内心本当にこの日と言ってるの?噓じゃないの?と戸惑っている。女子たちは急に彼が泣いたもので私が何かしたのではないかと目を猫のようにして睨む。
「あっ...あーそうね。睨まれるのが嫌なんでっ!」
椅子からスッと立ち上がるとにこりと微笑んで口を開いて嘘の感情が芽生え始める。皆は彼から私へと目線を変えた。
「こいつが告ってきて断ったら泣いた。ただそれだけ。ね?そうでしょ?別に友達とかぐらいで遊ぶならいいしさ。」
ニコニコと笑いながら、空泉に声を掛け背中をゆすろうとした。その時…
「ふざけんっじゃねぇよ!!!!!」
空泉は私の手をバンと払い、ハンカチを握って教室を出て行った。何があったのだろうか。男子とは所詮儚きものだな。時宮委員長は別だけどっ!クラスの半分の女子たちはあの屑みたいな空泉を追っかけていく。七海は追っかけないで急いでこちらへ向かってにかっと前話した時のような笑顔でこう言った。
「良くやった!!!!!」
頭を手で七海は撫でるときらきらした目で感謝の気持ちを述べた。
「マジでありがと~私あいつ嫌いなのじゃ。こーいう気持ちにさせた方が良いのじゃよ。」
そこから次々と空泉を嫌っていた女子たちがこちらに来た。嫉妬…という気持ちなのか何なのか。一体これ…?女子の一部の一人が空泉が私に告っていた時の動画を偶然撮ったもので私の発言が事実だという事が証明できる。ラッキー!!ガラガラ…教室のドアが開く。女子たちはどうせ私を睨んでくる。しかし女子たちは前会った時より肌が白くなっている。また後ろから歩いてきた空泉の口元は赤く染まっていた。まるでこれは…映画で言う吸血鬼_ヴァンパイアのようなものだった。まるでファンタジーじゃないんだからというツッコミもできないレベルに呆気にとられた。
「血が飲みたい。もっと美味しい…」
彼は口を開いたかと思えばそう言い、口元の血を舌で舐めた。なんだこいつ…。手元にある銀製のナイフを幾つか投げた。
スッと。吸血鬼は銀が無理だと誰かから聞いたもんだから。とっさに投げだした。