僕のお兄ちゃんには朝が来ない。_1
僕はドアを開ける
生活感だけが残った無駄に散らかった部屋。
その奥の布団には生きてるかわからないくらいな寝音をたてているお兄ちゃんがいた
・
「お兄ちゃん…」
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呼びかけに答えることはなかった
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僕はため息交じりに部屋を出ていく。
もう直ぐ夏だ。
潮風が鼻をくすぐる。僕の住む町は海が近いので服によく塩が付く。
学校からでもサーファーや海水浴に来ている人を確認できるくらいだ。
夜には星も見える。僕は別に天体観測など好きじゃないがお兄ちゃんはとても天体関係が好きだ。
それから僕はお兄ちゃんのように毎日星を見ている。
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若干よくわからない。
・
あ、ごめんごめん。自己紹介が遅れたね。僕は村居碧音「むらいあおと」今年で小学5年生になるまだ子供だ
・僕の家庭はあまり裕福ではない。所謂貧乏だ。
_…ちなみにさっきのお兄ちゃんだが友達に誘われてクスリに手を染めてしまった所謂人間の屑だ。
小学5年のガキが言うことではないが相当な屑だと僕は思っている。
・あの頃のお兄ちゃんは笑顔が印象的だったが今では瘦せこけた顔がゾンビみたいになり、外に出歩くこともない。
・
僕は通学路を歩く。
いつも通りの何も変わらない今日がやってくる。
自慢じゃないが僕は勉強「学力」県大会で2位を獲得している。
其れなりに勉強はできるのだ。
だからお兄ちゃんの事を知ったときはとても呆れた。
でも、なぜか毎日ドアを開いている。
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・
毎朝ドアの向こうから聞こえるのだ。
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「俺には朝が来ない」と。
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