#1 小説 月が登る空を君と見上げる。
昔から私は体が弱かった。みんなで一緒に鬼ごっこをしても、すぐに息が切れて捕まってしまう。
私はそんな自分が嫌だった。でも、17歳の夏、私の人生が大きく揺らいだ。
「えっと…月詠…なんて読むのこれ。珍しい漢字。」
話したこともない男子から急に声をかけられた。しかも、学年一モテる樫野朝陽(かしの あさひ)だ。
クラスの女子が教室の隅でひそひそ話をしている。きっと私の悪口だろう。クラスでも性格が暗かった私は
1人だけ孤立していた。私自身もそのことに対して、不思議と嫌だと思わなかったし、むしろ当たり前だと感じていた。
「ねー、月詠さーん」
「はっ、はいっ!月詠紗凪(つくよみ さな)ですっ!」
「ははっ、そんなビックリすんなよ」
あれ…?関わりやすい?そう思った瞬間だった。
「ねーえ、月詠ー。うちらの朝陽に話しかけないでよー、きもいなあ」
クラスの目立つ女子が言った。
「は…はい…」
その瞬間、樫野くんが立ち上がった。
「お前ら紗凪に何言ってんの?」
「え。だってえ!朝陽くんも月詠のこと嫌いでしょお?、」
「お前らの方が嫌いだよ」
第二話に続く~
いいねを贈ろう
いいね
4
コメントしよう!
トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する