学校1の美少女がなんの取り柄もない俺に一目惚れ!? ラブコメ小説 #5 通学路(2)
新しい登場人物
光一郎の友人:山田 陽平
幸い距離が離れていたため、接触は避けられた。
だが、顔がだいぶ近くまで寄ってしまった。
向こうも少しビックリしたようで、体がやや仰け反り気味になっていた。
「あなたは…昨日の人よね。」
「あ、はい、えと、乃南さん、でしたっけ。」
「! そ、そうよ。よく知ってるわね。」
「乃南さんは僕の名前知らないですよね。僕目立たないんで。」
「し、しらない。」
優梨奈は申し訳なさそうに俯いて言った。
「美人って話題になってましたから。実際美人だったんで印象には残ってます。」
「…ッ……そ、そう。」
優梨奈は自分が俺の名前を知らなかったことがよっぽど恥ずかしいのか、顔を赤くしていた。
あれ、なんで普通に喋れてんだ?噂では誰にでも塩対応だって…ま、いっか、ただの噂だし。
「俺の名前は、山崎 光一郎です。覚えたかったら覚えてくれてもいいです。」
「まあ、あなたの名前なんか覚えても仕方ないんだけどね。」
なかなか胸に刺さることを言ってくるな。
ちょっと傷ついたかも。
「じゃあ、またいつか。」
もう会うことはないかもしれないけど。
階段を上り、俺のクラスへ入る。
席に座った直後、
「よう、光一郎。」
と話しかけてきたのは俺の友人、山田 陽平だ。
苗字が似ているのと、陽平が名前の通り『陽』キャなのもあり、友人になった。
「お前、今日の朝にあの乃南さんと登校してたらしいな。」
冷静に考えると、バレるないと思う方がおかしいのだが、それにしても漏洩が速すぎる。
高校生の発信力は恐ろしい。
「お前荷物持ちでもさせられてたのか?」
「ちげぇよ。」
「お前よくあんな人と登校して無傷なんだよ。もしやお前は俺よりコミュ力が…!」
「ねぇよ。」
なにを言っているのだろうか。
たまたま鉢合わせしたから一緒に登校してきたのがおかしいのだろうか。